冷めてしまった紅茶の代わりに、今度は僕が紅茶を入れようとした。

 二人が抱き合って泣いてたのはいったいどれくらいだったんだろうか、紅茶はもう完全に気温と同じだった。
 僕がまだ握っていた紅茶のカップを揺すったのが合図だったように、二人は元の位置に戻った、真っ赤に泣きはらした目のままだった。

 キッチンに立ってどうなってるのかすぐ解った、置いてあったライターで、ガソリンコンロの火を着け、おいてあった携帯式の、小さなミルク鍋にミネラルウオーターを入れて火にかけた。ふっと気が付くと、綾波がすぐ脇に来ていた。そして屈むと足元にあった、雑嚢から、何か取り出した・・・・即席のコーンスープだった、これは軍用では無い。他の道具は全て、軍用色に塗られていた。

 「一緒に飲もうと思って持って来たから・・・・・・・」

 「うん、そうしよう」
 僕は、その即席のスープを受け取り、少しだけミネラルウオーターを使って、カップ二つを濯いだ。
 僕が手を離した隙に、カップスープの袋は綾波に取り返されていて、彼女は封を開けていた。
 僕の洗ったカップに、粉末スープを入れて、お湯が沸くのを二人で見ていた。
 
 ふたりで、ぼーっと鍋を見てる風景、他人が見てたら滑稽だろう。

 ふと、僕は綾波の手を握った。

 同じ人物を、父母と呼ぶ二人だと考えた時、その手は自然と、握る事が出来た。

 綾波は握り返す力を強めて来てそのまま僕の腕によりかかって来た。そしてゆっくり腕を絡めて来た。

 お湯がわくまでそのままだった。



新世紀エヴァンゲリオン勝手なSS
「もう一つの人類補完計画」 その4
「おめでとう」



 二人は元の位置に戻ったが、僕は綾波にベットの方を薦めた、彼女はそれに従った。



 二人ともコーンスープを飲み終わるまで無言だった。
 昔の綾波との時間とは違った、目を上げると、綾波は目を合わせて微笑んでくれた。



 「お父さんの人類補完計画は可能でした。」

 綾波が話し始めた。

 「ただ、お父さんの目指した、可能なら自分も会いたいは、サードインパクトの間に、約2秒間有ったのち、自らアダムを体に宿した経緯から力の強くなった初号機に食べられると言う形で、魂の座に召還されました。」

 「それでも父さんは母さんに会えたんだね。」
 僕にはもう父に対するわだかまりは無かった。いや、感謝すべき事なんだろう、亡くなったであろう事は解ってるショックは無い。それより、父の願いが2秒でもかなったなら良かったと思う方が強かった。

 「リリスの勝利は確定していました、その中でリリスの求める未来は、碇くんの思いを、私が伝えました。その結果が今のこの地球です。2000年以前の使徒が残ることは元々許されていませんでした、だから、2000年以降の最大数が生き残りました。・・・・・それがこのサードインパクトであった選択の結論で、どんなに努力しても2000年より前の人間は、この壁を越えて生きる事はゆるされないのです。だから、碇くんは許される最大の努力はしました。」

 「・・・・・そうか、そうゆうことになるのか・・・・・」
 喜びはしない、でも・・・・出来るだけの事、決まっていた事以外は僕の望んだ通りになっているんだ。


 「お父さんの計画一つだけ重要な問題を持っていました・・・それは、お母さんが肉体を持ってこの地球に戻りたいかどうかと言う問題でした。・・・・それはほんの数瞬での全ての出来事でと思います、でも私たちは魂を融合した中での話し合いなので、言葉とかの伝達速度は意味が有りませんでした。これから喋る事は、私のリリスとしての記憶です、だから時間軸は無いと考えて聞いて下さい、言葉で喋られた会話でも有りません、感じた事のもっと強い状態、LCLの中で、私と碇くんが一緒だった時の感覚にとても近いです。」

 「・・・うん、僕もあの時の事は覚えてるから解る気がする、口で話した記憶は無いし・・・」

 
 「そのまま、何もしなければ、全ての魂は消滅するその一瞬手前の話です。使途の殆どは本能と動くと言う知識だけでしたから、消滅するのに対して疑問は無かったのですが、ただ一人、ダブリスが言い始めました」

 「・・・・ダブリス!カヲルくん・・・!生きてたの・・・」

 「彼の肉体は死んでいます、でも魂の部分は、このこの最後の協議に参加し、結論を聞く義務が有るので、アダムの中に自動的に行くのです。私の魂が次の綾波レイに自動的に行くのと同じことです。」

 「あ!・・そうか、じゃあ戦って倒れた使徒は、魂だけになって、アダムと一緒に居たと言う事か」

 「そう、そのアダムと融合していた事で、お父さんもその場に引き立てられました。それは使徒と同じですから、アダムの魂自体は、リリンの努力の結果ほとんど生まれる前のままでした。ただ、ここに二つの特殊な使徒を作ってしまったのもリリンのある種の罪でした・・・つまり、リリンと同じ体を持ち、リリンと意思疎通を行った結果、魂の付属として心を持っている使徒が二人含まれました・・・それが、ダブリスと私、リリスです。」

 「・・・そうだね・・・そうゆう事だね・・・」

 「ダブリスが言ったのは、この魂の座には、二つの魂が余剰だといい始めました・・・・これが、お父さんの「人類補完計画」の基本概念です。つまり、この中の二つは消滅しない事が可能だと言う事です。同時に、勝者である、リリスとアダムは消滅しません、次の選択のために、何処かで意識を持つ事になります。アダムには本来のアダムとお父さんの魂が有り、私、リリスにはお母さんと私の魂が有りました。つまり、この次の審判までアダムとリリスに残るのは誰か?ダブリスの言うのはそれでした。・・・・私がリリスですから私が残るのが当然だと思っていました。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・綾波!・・・・・・・・・・・」

 「その時、お父さんは、お母さんに、もう一個の綾波レイが有る、そこに戻れと叫びました・・・そう魂の叫びとして聞こえました。・・・・それは暖かい叫びでした。・・・・・でも、私が理解したのは、「もう一つの綾波レイでした。」・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・私は、「帰りたい、碇くんの所に帰りたい!」って叫んでいました。・・・・・・すぐ、反応が帰って来ました、二つ・・・・・・・お母さんから「行きなさいシンジをよろしく。」・・・・・ダブリスから「おめでとう」でした。・・・・お父さんから何も来ませんでした・・けれど・・・魂の座は、全員の総意の場です、多数決では有りません・・・・・・そこからしばらくして、私は松代で目覚めました。涙が止まりませんでした。」

 綾波はまた涙目だった、僕は何を言おうかと迷ったが、友達の言葉を思い出した。





 「おめでとう・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・そして、良く帰ってきたね、お帰りなさい。・・」
 綾波が泣き出したので、僕もベット側に移って綾波を抱きしめていた。

 「・・・・・それと・・・・・もう一つの魂・・・・・」
 僕はハッとなった・・・二つ不要なのだ・・・・・
 「誰、誰が帰って来たの!」

 「・・・・・・・ダブリス・・・・・・」
 泣きながら綾波は答えた・・・・・しばらく泣き止むまでそのままだった。・・・カヲルくんが帰って来てる、でも、何処に、肉体は有るのか・・・・


 しばらく・・お互いに涙声だったけれど、再会を祝す言葉の繰り返しが小さな声で続いた。

 僕がなぜかクッキーをひとかけら食べたのが、話の再会の合図になった・・・綾波もクッキーを食べた・・・ずいぶん長いこと話している、何か食べる用意をした方がいいかも知れない。泣くと言うのがエネルギーを使うと言うのが解った気がした。

 「・・・・・ダブリス・・・・は私についていく事を望みました、意識は最小限にする、乗っ取ったりしない、お互い無理の無い案が有る、そう言うと、魂の座で唯一意識の有る残りの魂、お父さんとお母さんに行く許可を求めました。お父さんもお母さんも承認しました。そのすぐ後彼は私に方法を説明しました。私がそこを退出する寸前、お父さんもお母さんも、笑って送ってくれました。」

 「良かった、二人とも笑ってくれたんだ・・安心した。」

 「ええ、笑って送り出してくれた」

 「・・ところで、カヲル君はどうなったの、何処で再生してるの・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 どうしたの綾波真っ赤だよ・・・・・

 「・・・碇くん、ここから独り言・・・・・・・・お願い、ちょっとだけ替わって、聞こえてるんでしょ、私の口から言わせるのをニヤケて笑ってるんでしょ、お願いちょっと替わって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「綾波、その相手ってカヲル君?・・替わるって?」

 「・・・・・・・・」
 綾波は、違う意味で泣きそうな顔になってる、真っ赤になって半分笑ってるようで・・・ちょっと怖いよ。

 「綾波大丈夫、レーション有るなら作ろうか?」

 「・・・・・・・・うん、ありがとう・・・・・・・ダブリスは、私の体に居るわ。」





 「カヲル君・・・・どうゆう事」

 「・・・・・ダブリスが言った事、そのまま言うわ聞いて、出来れば二度と聞かないで・・・・・・・・・僕は君の体に寄生するちょっと下腹部の方だ、君の体には新しいリリンを作る機能が有る、僕はそこで時が来るまで自分を殺しているよ、君の体に干渉しない、君のそこには、生命体の欠片が常に有る、僕はそこでずっと待つよ・・・シンジ君が出してくれるのを・・・・そうシンジ君に伝えてくれるかい、綾波レイさん・・・そして、お母さん。・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 綾波は顔を隠して、真っ赤っかだった、僕も真っ赤っかだと思う。
 カヲル君それって脅迫だよ!父さんと母さんが大笑いしたのが解るよ、それって孫って事だろ、しっかりした孫それも使徒と殆ど同じ判断力を持った孫に行って来ますって言われたら、誰だって爆笑するよ。

 僕は真っ赤の後に笑い始めてしまった。

 「解ったよ綾波、カヲル君らしいと言うか・・・・・参った、そうゆう手も有ったか、本当に頭脳明晰だね彼は・・・・・・たぶん一秒にも満たない時間でそこまで考えたんだね。・・・・・・・・・・・・・・・」
 綾波は顔を上げてポカーンとしていた。

 僕は、若干ひきつる物も覚えたが、頭に、カヲル君の笑顔が見えて、有る程度の覚悟を決めた。決めてしまえば、彼のその行動は、滑稽だと思うし別に彼はすぐ出せとは言ってない。泣いて、笑うと急速にお腹が減ったのが解った。
 「綾波何か食べようよ、バック開けてもいい?」

 「ええ、もちろんよ・・・・・ダブリスの伝言は理解した?」

 「うん、理解した。」
 僕はキッチンに向かいながら、半分陽気に答えた。

 「・・・じゃあ、ポイ」
 後ろで、綾波が、記憶をポイしてる声がした。アスカのとカヲルくんのはポイする訳か、しかし、カヲル君のはポイして良い様な内容では無い気がするが・・・実際しみじみ思っていた事が有る、僕の両親を最後に大笑いさせてくれたのは、カヲルくんだ、ある意味感謝している。その感謝を利用したような、脅迫に近いけれど、僕はサードインパクトの後から、既に綾波の面影を求めてたのだ・・・・僕は確実に綾波が好きだ・・・だから、カヲルくんを出してあげる事は苦痛じゃ無い。・・・彼はきっと、消え入る瞬間まで、僕のこと考えてくれたと思う。僕には、カヲルくんを出す義務が有ると思う。・・・たぶん、カヲルくんは、全部知っていたんだと思う、母の気持ち、父の考え、僕の気持ち、綾波の気持ち・・・・その全部を、こんなに清清しく、自分の気持ちに利用出来るって言うのは素晴らしい、僕の右手の重さ、カヲル君を潰した辛さは凄く軽くなった、いつの日にか、この右手で、カヲル君を抱き上げればいいんだろう。
 そんな風に気持ちを整理しながら、バックの中を探していた、レーションが5食分位入っている、紅茶のティーバックと、さっきのコーンスープは、コンビニに有る物だった、綾波が僕のために用意した物、会ったら一緒に飲もうと思った物なのだろう。僕の手は、もう一つ、ミネストローネスープを見つけた。僕はこれを飲もうと決めた。

 「綾波、僕はこのミネストローネスープが大好きなんだ、一緒に飲もうよ。」
 僕を思ってくれた人への、出来る限りの礼儀だと思った。

 「ええ、良かった、碇くんの好み解らなかった。」
 綾波は・・・ポイの後、何か考え事をしていた。しかし、僕の言葉を受けて言葉を返す綾波の顔は輝いていた。

 鍋はミルクパンしか無いので、全部は一気に出来ない。一人分ならなんとかなるが・・・パックの表示を読んで、僕は少し考え、コース・ディナー風の順番で用意しようと思った。ともかくスープなので、火にかけて有ったお湯で、スープを作る事にした。ミネストローネのパックを開けると、すぐ脇に綾波がカップを持って立っていた。そのまま綾波はカップを洗い始めた。洗い終わるのと、お湯が沸くのがほぼ同じだった。
 レーションの中に温める必要の無い、キャベツのサラダが有ったので、新しいお湯を沸かし、カンズメ・・温野菜とキノコソテーを入れて、温まるまで、スープと、サラダを食べる事にした。
 僕はそう綾波に言うと彼女はうなずいた。

 綾波は、両手で大事そうにミネストローネの入ったカップを持って飲んだ。

 「・・・・碇くん、伝言が一つ残ってる、お母さんから・・・・・」
 綾波は微笑んだまま言った。

 「うん、教えて・・・」
 この笑顔ならたぶんショッキングな話ではないだろう。

 「うん・・・・・・シンジ古い感覚を捨てて、これからの未来を考えて、生き抜いてね。レイと」
 もう、僕は笑うしか無かった、レイの表情は解りやすい、あそこまで表情が無いと見ていた彼女がこんなに自分の気持ちに素直だなんて、最後の、「レイと」の時の笑顔は最高の笑顔だった・・・・・カヲルくんのがポイされた理由が解った。・・・解った、僕もこの気持ち早い内に返すよ、僕だって、こんなの説明するのに2・3日欲しいよ。それだけは待って欲しいな。

 「綾波時計持ってる?」
 僕はスープを飲み終え、温まっているであろうソテー2袋を開きにいった、次はご飯を温める事になるだろう。そう思いながら席を立ちつつ、出発の時間が少し気になった。

 「ええ、持ってる、現在時刻は、10時25分よ」
 的確な返事が返って来た。あと1時間半か・・・別にまとめなければいけない荷物も無い。そう思っていた。まだ気になっている事は有る、綾波がなぜ戦自の制服なのかとか・・・・僕はソテーをパレットに二つまとめて開けて、次のライスをお湯につけて、綾波の方に戻った。
 さっきからトレーの置き場所が無いので、ベットに二人で座り、丸椅子をテーブルにしていた。

 僕は丸椅子にトレーを置きながら、そろそろ何処かで、近況の方を聞かないといけないなと考えていた。つまり、戦自の制服や食料、機材の件、松代はどうなってるのかの件などだ、その辺にまだ話がたどり着いていない。


 「どうしたの、碇くん、大丈夫?」
 悪い癖だ、考えると、体が止まってしまうんだろう、スプーン握ったままフリーズしてれば、心配になるよね。

 「いや大丈夫、ちょっと考え事をしていたんだ。」

 「そう・・・・・」

 「どうしたの綾波も何か考え事?」

 「ええ、あと1時間位しか無いから。」

 食事を進めながら・・しばし二人は考えている。
 あ、レトルトのご飯は綾波が取りにいってくれた。トレーに取り分けてもって来てくれる。

 「ありがとう」
 
 「どういたしまして」

 二人とも食事が遅いのは助かった、こうゆう時、アスカだったら、僕の半分の時間で食べ終わってるはずだ。
 そうして、イライラしながら、叫んでる、その対応で更に食事が遅くなるのが常だった。

 僕は、綾波の無言に慣れてきていた。彼女は、無言だけど必死に色々考えてる、何かに、固守して固まってる訳では無いこと、そして、そのすごく早い思考スピードで、基本的に僕の事を考えてくれていると言うのが解って来ていた。

 彼女は、ご飯をトレーに空けながら、空いたコンロに、紅茶用のお湯を沸かしていた。

 ふっと、小さな笑いが出てきた、僕も彼女の思考や行動を呼んでいる、彼女より僕の方が食べ終わるのが早そうだから、カップを持っていこうと考えていた。

 「ねえ、綾波」

 「なあに」
 
 「あのお湯は、紅茶を入れるお湯だよね。」

 「そうよ、良く解ったわね。」

 「いや、ちょっとね。」
 軽い笑いがもれてしまった、綾波が見逃すはずが無かった。

 「何が可笑しいの?」

 「いや、僕と君は、何も言わないのに、スムーズに食事の流れを作っているなって・・これって、夫婦の阿吽の呼吸って言うのかなってね。」
 綾波が真っ赤になっている・・ごめんごめんと、僕はウインクをした、「何を言うのよかな?」しかし違った。

 「・・・・・・・・・これでいいのね。・・・・・」



 今度は赤くなるのは僕の方だった、いきなり肯定されれば・・・・一瞬の反応の遅れの間に、彼女は、僕の10倍以上、返事のパターンを考えたと思う、それくらい彼女の頭の回転は速いのだ。それから導き出した結論の言葉は重い、僕が一時間考えても出ない答えを出してくる可能性が有るのだ。


 「紅茶を入れるよ、それから、少し、今後の話をして、それからここを出よう。」
 そう言って僕は、二人分のカップを持ってキッチンに向かった。紅茶を注ぎながら振り返ると、食事が終わった綾波が、丸椅子の周りの、トレー類やスプーンを、ゴミ袋に投げこんでいた。・・・・・本当に、言葉をかけないで、思ったようになってるな。僕は思わず苦笑してしまった。
 
 カップを持って戻ると、丸椅子の上に、小さな紙皿に、残っていたクッキーが乗せられて待っていた。それは、僕が、紅茶を飲むならこうしようと思っていたイメージのままだった。

 「ねえ、綾波、僕たちってシンクロしてるの?そうゆう力を君は持っているの?」

 「・・・?不思議な質問ね。・・・・私のリリスの力は全て、お母さんに継承したの、だから、私は今無力なたたの人類よ。」
 リリンと言わない所が、綾波の類別なんだろう。ただ、使徒と、僕は、僕とアスカほど違わないと言っていたのに・・・

 「いや、この椅子の上に用意された物が、僕のイメージ通りだったからねビックリしたんだ、もしかしたらまだ、僕と綾波はつながってるんじゃ無いかって」

 「・・それは有るかも知れない、碇くんと繋がった時、私は、凄い量のイメージを貰ったわ、あの時二人は同じ物だったの、たったの二週間前よ」

 あ、そうか・・・・それも有るんだ・・・・
 「そうか、あの時僕は君であり、君は僕だったんだよね。・・・・・じゃあ、僕がリリスの要素を持ってる可能性は?・・・」

 「・・・・碇くんはそれ以前から持ってた・・・初号機に取り込まれて、初号機が再形成すれば、初号機と同じ構成よ、だから碇くんは、リリスに最も近いリリン・・私は、リリスの経験を持つ、リリンに最も近いリリスだと思うわ。」

 「じゃあ、僕と綾波は、ほとんど同じ物って事だね。だったら僕の綾波の間に、リリンと、人類なんて言う境は無くそう。・・・これから、の会話で、リリンから君を抜くのは禁止!・・人類にも、人にも、君を足して計算すること!」

 「・・・・・・・ありがとう・・・・・・」

 僕は、聞こえないはずの声を聞いたような気がした・・「シンジ君、やっと解って来たようだね、それが一つの真理だよ。」・・・カヲル君かな?・・・「早く出たいってせかさないでよ、まだ心の準備が出来て無いんだから」・・・・・「いいのかい、最初、綾波レイ君の来たドアを開ける時に、君はどうゆう後悔をしたんだい、僕はあの時の君の判断を支持するよ、ベランダから飛び降りていたら、今は無いんだよ。」・・・・・本当にカヲル君でしょう・・・・「カヲル君いたずらしないって、綾波に誓ったんじゃ無いのかい!」・・・「僕が誓ったのは、綾波レイくんの体を支配したり、干渉したりしないってことさ、愛しいシンジ君に全く干渉しないとは誓って・・・いないよ。・・・・”父さん!”」・・・・・「!!!!あーそれはちょっとまだ早い」・・・・・「相変わらず繊細だね、16億人の長にならなければいけない人が・・・・僕を早くその世界に召還した方が力にねれるよ。」・・・・・「16億人の長?」・・・・「そう、それは状況を考えて見れば、明白さ、誰が適任か・・・それは君でも解るはずだよ。」・・・・・「カヲル君!」・・・・「あ、”お母さん”の精神が安定した、イタズラしてるのがばれちゃうから僕は行くよ・・・また会おう・・・碇シンジ君」

 「どうしたの?」
 涙目で、僕の不審な行動に気付いたのだろう。これは言えない、絶対言えない、綾波が使徒として殲滅しかねない。どうやるか考えたくも無い。・・・・それは別な意味で、早く出さないと、「ヤバイ」と言う僕への脅迫でも有るな。とんでも無い事になってるな。


 「あ、いや、ともかく時間があまり無くなったから、まず明確にする順番を考えてたんだ。」

 「「じゃあ」」

 「あ、綾波から言っていいよ」
 たぶん同じ答えだろう。これだけ考え方が当たるんだから。

 「ううん、碇くんから」

 「綾波の方がずっと冷静で、聡明だよ、君の判断に任せるよ。」
 この会話の間に、僕は何一つ何を聞こうか切り替えられていない、綾波はたぶん10パターン以上は、計算したはずだ・・・

 「1時間ちょっとしか無いから、可能なら・・・・」

 「可能なら?」




 「ダブリスを出そうと思うの。」
 僕は綾波の両肩に手を置いて、絶句した。


 <初心貫徹、辛くは無いが、マジ路線のはずが・・・危ない方向に向かいつつ有ります・・・・これもまた・・・サービス・サービスゥ・・で解決する気でしょうか>

 
 




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( eva@d-shell.info )

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