EVA -- Frame by Frame --

 

<第2話 見知らぬ背中>

 

 朝の日射しが高層ビル群に反射する。街は息吹を取り戻し、人が流れ始める。駅頭でコーヒーをすするサラリーマン達は、あるいは携帯端末で一日のスケジュールを確認し、あるいは雑誌のページを繰りながら、「気」を高めてゆく。しだいに強さを増す陽光は、濃度の高まった駅頭の「気」と反応して、オフィスへと向かう者たちの顔に汗を噴き出させる。喧噪には時折、不自然なまでに大げさな笑い声が混じる。

 遠景から見れば、動き始めた都市の脈動に淀みが生じていることに気がつくだろう。手入れの行き届いた庭園を邪悪な闖入者が荒らした後のように、全壊、あるいは半壊したビル区画が点々と続いている。それはある場所で止まり、そこには爆撃の跡のような大穴が地面に穿たれている。周囲には通行禁止の仕切りが設置され、重機の出入りがせわしない。

 人々はそれを情報として受け入れつつも事態の意味をじゅうぶんに把握できぬまま、今日しておくべきことを各人のやり方で整理すると、やがて日常という聖なる機構<divina machina>へと自らを挿入していった。

 

***

 

 碇シンジは目をさました。体が重い。頭の中にも霞がかかっているようだ。手足の先がしびれる感じがする。それが鎮静剤のせいであるとは分からぬまま、彼は定まらない視線で天井を見た。

(どこだろう、ここ)

 強い夏の日射しが差し込んでいる。

 耳には遠くから、ひどく単純で間の抜けたピアノの響きが聞こえる。しばらく濁った意識の奥を検索してから、それがラジオ体操のメロディーであることを思い出すと、少年は再び意識をなくしていった。

 

***

 

 綾波レイはそこが見慣れた天井の病室であることに気づいた。直前の記憶を振り返る。この体は、わたしの体。ベッドの横に置かれた機器は、この体が修復を必要とするものであることを示している。

(わたし、生きてる)

 強い夏の日射しが差し込んでいる。

 耳には遠くから、ひどく単純で間の抜けたピアノの響きが聞こえる。左腕を動かそうとするが、手足はベッドに固定されているらしく、不快な抑圧感を覚えたまま、少女は再び意識をなくしていった。

 

***

 

 地上の損害は軽微−−

(素直には喜べないわね)

 初の直上会戦で、ジオフロント内部への侵入を許した。地上で事後処理するよりも情報操作はむしろ容易だろうが、作戦部長・葛城ミサトとしては有り難くない。

 処理現場にたどり着くと、旧友にして同僚の姿をミサトは認める。

「発表はシナリオB−22か。またも事実は闇の中ね」

「広報部が喜んでたわよ、やっと仕事ができるって」

 技術部長・赤木リツコが言葉を返す。

「諜報部の方も頑張ってもらわないとね。捕まえたネズミは?」

「処理済。差し替え用のフェイクは作っておいたし」

「サンキュ。それにしても、よく生き延びたもんだわ」

「本当ね」

 それを幸運と呼ぶことはたやすい。しかし、今では幸運の女神にすら、闘いを挑まねばならない。人類の未来はそんな領域に入ってしまった。そのための、使徒迎撃要塞都市。

「シンジ君のようすは?」

「さっき目が覚めたそうよ。若干、記憶に混乱が見られるようだけど」

 精神汚染の危険がないことは、既にチェック済みだった。

「でも、シンジ君がまた乗ってくれて、エヴァとこの街が完全に稼働すれば、いけるかもしれない」

「使徒に勝つつもり?相変わらず楽天的ね」

「あら、希望的観測は、人が生きていくための必需品よ」

「そうね。あなたのそういうところ、助かるわ」

 天才科学者でも、心の片隅で希望をつなぎとめる留め金、いやせめて虫ピンくらいは欲しくなる時もある。リツコは、いつの頃からか習性となってしまった、深々としたため息を吐き出した。

 もちろんミサトとて、それほど単純明快な性格の持ち主ではない。昨夜のことを思い返すだけでも、膝が震える。九死に一生、など甘すぎる。これから、あんな闘いを続けていかねばならないのかと思うと、研ぎ澄まされ、鍛え上げられた意志の裏側で、旧皮質に埋め込まれた本能の部分が無言で恐怖の条件反射を返した。

 自分は、何をしたのか。

 ミサトは自問する。何を、したのか。適格者の少年を呼びだし、エヴァに乗せたこと。訓練なしのいきなりの実戦で、40%を越えるシンクロ値をたたき出し、奇跡的に起動に成功したこと。しかし起動させたのはあの少年のもつ天性に加え、オペレーター達の、一里も先の針の穴を通すような精確な作業があってのことだ。その後のことは、自分の制御をまるっきり越えていた。

 自分は、何をしたのか。

 この疑問は目の前で続く処理作業を見ながら、ミサトの中で渦巻いた。

 

***

 

(見知らぬ背中だ)

 体の自由を取り戻すと、シンジはあてもなく廊下に出た。看護婦の声と、移動式ベッドを押す音に気がついて廊下の向こうを見やる。

 回廊の先には、寝台に寄り添い、長身を折って、横たわる少女を見つめる父・碇ゲンドウの姿があった。その指先は包帯の巻かれた少女の髪を優しげに撫でている。こちらからでは表情はうかがい知れない。

(不思議な色の髪をしてる)

 表す適当な言葉がみつからぬまま、シンジは少女の髪にひきつけられた。白いシーツ、白い包帯、白い肌、その中に浮かびあがるような、うすく青みがかった銀髪。そしてゲンドウの白い手袋。

 目が、合う、その寸前でシンジは視線を切り、窓の外を見やった。自然と肩が落ちていく。

 昼下がりの病院。白い景色。遠ざかる父の足音が、世界から色彩を奪っていった。するうち、少女を乗せたベッドは少年の傍らを通り過ぎ、その音も遠ざかっていった。

 ベッドの上から、すれ違いながらレイはパジャマ姿で力無く立つ少年の背中をちらりと見る。昨日の少年。なぜか分からぬまま、レイは少年が振り向くことを願ったが、それは果たされぬまま、少年は視界から外れていった。

 

***

 

「全隔壁を閉鎖!少しでもいい、時間を稼ぐんだ」

 副司令・冬月コウゾウの怒号が響いた。

「零号機の起動確率は?」

 低い声が発せられる。口元で手を組み、表情を隠したゲンドウの様子からはいかなる感情もおしはかることはできない。

「前回のデータ通りと仮定すれば、予測されるシンクロ率は約10−15%です。起動の保証はありません。それよりも暴走の危険の方が−−」

 リツコが答える。

「構わん。迎撃地点へのケーブルの確保を。硬化ベークライトはパイロットの到着までに爆砕しておけ」

 ゲンドウの命令はただちにそれぞれの現場に下った。ミサトはただ初号機の回収場所の映像を見すえることしかできない。

 主モニタはジオフロントに侵入した使徒を映していた。たとえ映像であっても、直線距離にしてほんの数百mの地点に立つ異形の生命体の姿は、発令所の全員を戦慄させるに充分だった。

 やや遅れて、モニタの一角に零号機のオレンジ色の機体が映る。腰から下を固めた硬化ベークライトに何か所もドリルで穴が穿たれ、中に炸薬が挿入される。作業員が足早に待避して数秒後、画像がほんのわずか揺れたかと思うと、小山にヒビが縦横に走った。その間から塵が煙となって吹き上がり、表面が崩落を始める。

「パイロット、到着します!」

 映像の片隅に、両肩を抱えられながらベッドを降り、用意されたエントリープラグに体を沈ませるレイが見えた。そして慌ただしげに十字架形の停止信号プラグが引き抜かれ、零号機の背中、脊椎上部にあたる部分にプラグは吸い込まれていく。

 モニタが切り替わり、エントリープラグ内のレイが映った。注入されるLCLに静かに身を浸していく姿は、泡へと還る白き人魚姫の水葬。そのあまりに酷い姿を目にした技術部オペレーター、伊吹マヤは目を背け、コンソールの端をたまらず強く握りしめた。レイの生命指標は、どれも本来なら絶対安静の域にあたる数値を示している。新たな出血によってプラグ内が濁るが、LCLの自律浄化システムが速やかに除去していった。

「どうしたの?早く始めて」

 ちらりとマヤは怯えた視線をリツコに向けかけるが、一拍おいて起動シークエンスに入る。叫び出したくなる思いを、操作を進めるごとにまた一つと振り切りながら。

 

「...全回路、動力伝達...」

 

「...第二次コンタクトに入ります...」

 

「...A-10神経接続、異常なし...」

 

「...双方向回線、開きます...」

 

「...ハーモニクス、全て正常値...」

 

「...第二拘束具、除去...」

 

「エヴァ零号機、起動!」

 シンクロ率は15%前後を不安定に上下している。直立し、一歩踏み出すと、零号機の足を固めていたベークライトが崩れていった。

「出撃だ、葛城君」

「は...はい。エヴァンゲリオン零号機、発進!」


 

Episode 02: Sunrise, Sunset

 


 ジオフロントに侵入した目標は不規則な足取りで向かってくる。時に浮揚し、時に閃光と共に隔壁を穿ちながら、あたかも獲物を嗅ぎ回っているように、使徒は気まぐれな独歩行を続けていた。だが、その軌跡の変化から、しだいに動きがある一点を目指し始めたことがわかる。地表の破壊された侵入部分からは満月が注ぎ込み、使徒の半身を照らし出していた。そして打ち上げられた照明弾が、残りの半身にも鮮やかな光を投げかけた。

 レイは零号機と共にリフトオフされた無反動砲をとると、膝をついた姿勢で肩に乗せた。重さが細い肩に伝わる。骨折している右腕を動かすのをイメージすることは容易ではなかった。それでも、かろうじて動く左腕で支えながら、照準を合わせ、撃ち出す。

 乾いた音と共にN2弾頭が白い軌跡を残して使徒の「胴体」に吸い込まれていった。しかし使徒の「壁」によって、激烈な閃光と熱量の放射も、その表皮をわずかに焦がしただけだった。

 使徒の憎悪が、零号機に向けられた。

(来る...)

 その時、通信が入った。

「レイ、ATフィールドを使って目標を封じろ」

 発令所ではミサトが不審な顔を隠さない。

(使えって...このシンクロ率で?)

 一方、その少し後ろで立ったまま戦況を見守るリツコは一瞬だけその形の良い眉をひそめ、肩越しに司令部の二人の気配を読もうとしたが、果たせなかった。

 レイは無反動砲を棄て、身を起こそうとした。だがそれよりも早く使徒は高々と舞い上がり、零号機の目の前に着地する。原始的な仮面の形に見える胸の中心に光が急速に収束を始め、使徒は間合いを一気に詰める。

(殺られる!)

 ミサトは息を潰した。

 使徒はうずくまったままの零号機に覆い被さるように立ちふさがる。

「レイ!」

 ミサトが叫んだ時、零号機は単眼の頭部を持ち上げ、ゆらりと身を起こした。そのぎこちない動きは、どこか素人の操り人形を思わせた。そして閃光を発しようとする使徒に向け、零号機は不自然な姿勢のまま正対する。発令所の皆が言葉もなく凝視する中、零号機はそのまま使徒を見すえると、最後の力を振り絞るように、左腕から手刀を正面へと繰り出した。その動きは緩慢でさえあったが、使徒はそれをよける動きを見せることもなく、一撃が当たる直前に、零号機との間に八角形の結晶構造を思わせる朱金の「壁」が生成される。

「ATフィールド?!」

 使徒だけが持つ、絶対領域。いや正確には使徒とエヴァだけが。

 零号機の手刀は「壁」によって弾かれることなく、そのまま使徒のATフィールドに突き刺さっていた。零号機はさらに右の腕先をこじ入れ、「壁」の亀裂を押し拡げようとしていた。

「零号機も、ATフィールドを展開?!」

 作戦部オペレーター、日向マコトが叫んだ。両者の間に展開された「壁」の衝突は、異常な力のゆらぎを生み出しつつあった。

「これは...」

 もう一人のオペレーター、青葉シゲルが言葉を継いだ。

「間違いありません。零号機のATフィールドが位相空間を中和していきます」

 そうするうちにも、零号機はついに両腕で使徒の「絶対領域」を侵し、深々と差し入れた両の掌を猛禽の爪のように開くと、使徒の触手を鷲掴みにした。使徒はびくりと痺れたように動きを止める。

 明らかに、使徒が押されていた。

「エヴァが、使徒のATフィールドを浸食している...」

 リツコは手元のデータの奔流を見ながら、絶句した。同時に、モニタの一部が切れ、砂色になっていることに気づく。

 使徒は触手の先から光の「槍」を撃ち出そうとするがかなわず、腕を振りほどこうともがき始める。使徒の内面がモニタ可能ならば、「恐慌」というシグナルが検出されたことだろう。零号機が自ら生み出す朱金の「場」はさらに使徒を圧倒し、押し包んでいった。やがて、それは夜の底に半球状の輝くドームを形成し、使徒をその内に封じ込めた。

 零号機の手が、N2弾頭を握りしめる。

「レイ!」

 ミサトの叫びが肺腑から絞り出される。零号機は使徒を封じたATフィールドの中に一つ、また一つとN2弾頭を押し入れていった。

「そういうことなの、レイ」

 唇を噛みながら低くつぶやいたリツコの声は誰の耳にも届かなかった。

「勝ったな」

 冬月が口を開いた次の瞬間、メインモニタがホワイトアウトし、全ての人間が床に叩きつけられた。

 轟音。

 捻じ曲げられた火柱。

 重なる鳴動。

 高度の密閉状態で爆発を引き起こすと、中にあるものはずたずたに引き裂かれる。生物の場合、どこかに必ず通気口があるから、「内側」と「外側」がひっくり返り、正視に耐えない状態にまでなる。

 エヴァが、それをやってのけた。使徒のATフィールドを無力化した上で相手を封じ込め、その中でN2弾頭を内破させることで。

 爆発に続いて、何層もの壁を通して低周波の衝撃が伝わった。本部内では、胃から苦い液体がこみあげる者も一人ではなかった。

「モニタ、回復します...」

 まばゆい光を放つ「場」は消えていた。今や脅威が去ったことは、だれもが本能によって感じとっていた。

「目標の反応、消失...」

「赤木君」

「は、はい」

 見上げると、起きあがり、飛ばされた色眼鏡をかけ直すゲンドウの姿があった。

「この戦闘におけるATフィールド関連の全データの封印を命ずる。使徒の干渉によりデータは計測不能。以上だ」

 やっとクリアになった画面には、力尽きてうつ伏せに崩折れた零号機のオレンジ色の機体が映されていた。サブモニタの数値は、レイの小さな心臓が細々と、そして不規則に脈打っていることを示している。すでに使徒は焼け焦げた生体組織の残骸でしかない。

「報告書の偽装は、おれの仕事だぞ」

 服のあちこちを手ではたきながら、副指令はため息をついた。

「冬月、後を頼む」

 ゲンドウはそれだけ言い残し、レイの救出現場へと向かった。冬月はわずかに焦れたそぶりをその後ろ姿に認めると、小さくため息を吐き、各部署への指示を出す作業にかかった。

 

***

 

「使徒再来か。あまりに唐突だな」

 薄暗い空間で男が言葉を絞り出す。この世でおそらく最も権力の集中した会議。

「15年前と同じだよ。災いは何の前触れもなく訪れるものだ」

 会議の席につく者たちの間に感情を読みとることはできない。どの発言も、より奥に秘められた真実を見すえつつ、欺瞞のデフォルメを幾重にも重ねたものだった。この席の老人達にとっては、使徒の再来は決して「唐突」ではないのだ。すべては、シナリオ通りに。

「幸いともいえる。我々の先行投資が無駄にならなかった点においてはな」

「そいつはまだわからんよ。役に立たなければ無駄と同じだ」

「左様。今や周知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、ネルフの運用は全て、適切かつ迅速に処理してもらわんと困るよ」

 そして議論は状況確認という名の疑心暗鬼の場と化し、ひどく抽象的な符丁が委員の間を飛び交う。

「さて、ここまでは今さら言うまでもないことだが−−」

 議長席とおぼしき位置を占める老人が一同を黙らせた。

「聞けば今回の使徒戦、息子は戦力にならなかったそうだな」

「ずいぶんと高い玩具を与えたものだ。いくつ国を傾ければ気が済むのかね」

「親馬鹿にもほどがある」

「挙げ句にプロトタイプ機を投入して、相討ち同然とは。君たちの文化はいささか理解に苦しむものがあるな」

 非難の言葉が次々にトーンを変えつつ投げかけられる。

 ゲンドウは眉一つ動かさずに議長のローレンツを凝視している。しょせんは影、ホログラフィだ。そもそもこの老人達に実体などあるのだろうか。世界を影から操る存在−−実体であってはならない存在。

「いずれにせよ、次の使徒は20日後に現れる。予算については、一考しよう」

 ローレンツは不気味な予言をした。

「健闘を祈るよ」

 小男が気に障る甲高い声で冷やかし気味に加えた。

「碇、後戻りはできんぞ」

 そしてローレンツの言葉を最後に虚像の老人達は姿を消し、後には闇の中にゲンドウ一人だけが残った。口元には皮肉な笑みを浮かべて。

(分かっている。人間には時間がないのだ)

 

***

 

「よろしいのですね。同居ではなくて」

「碇たちにとっては、お互いにいない生活が当たり前なのだよ」

 

***

 

(なんでここにいるんだろう)

 簡単な検査を終えて退院し、ミサトと同居することになったシンジは不安げにつぶやいた。ベッドの上で仰向けになり、一日の出来事を振り返る。整理すべき情報、いや気持ちの交錯は少年の手にあまるものだった。とうに陽は落ち、電灯をつけぬままの部屋は暗い。

(必要だから呼んだまでだ)

 ミサトさんだって、結局は父さんと同じなのかもしれない。でも、それ以上の何かを感じる。

(あたしと同じね)

 たぶん。だから、同居人となることを選んだ。悪い人じゃないんだ。それはわかる。

(よくやったわ、シンジ君)

 という言葉はしかし、彼の胸を素通りした。ミサトと見つめた第三新東京市の荘厳な夕暮れも、にこやかな新居への歓待も、嬉しくはあったが、シンジの心をすみずみまで晴れやかにするものではなかった。

 エヴァンゲリオンと呼ばれる巨人を起動させ、地上に出てから、危うい一歩を踏み出したところまでは何とかなったのだと思う。だがその後、何の術も身につけぬ少年は、体の自由を奪われて、救出をただ待つだけだった。真の危険を感じる間もなく、使徒が地下に侵入してからは、巨人との奇妙な一体感も急激に薄れていった。

 また、あれに乗るのだろうか。

(あの女の子...)

 あんな体で、どうやってあの使徒に立ち向かったのだろう。しかも敵をその手で倒したという。シンジは考えると寝付くことができなかった。

 見ると、時計は12時を回っている。

 これまでとは違う明日が、始まっていた。

 

<つづく>

2001.7.21(2007.10.5オーバーホール)

Hoffnung

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