リナレイバージョン
 ョンwritten by まっこう

 

 

 

 其の壱

 



ちょっとやばいってかんじぃ〜〜。

どうやら私碇君の事好きみたい。碇君もそうみたいだし。困ったわあ〜〜。私の正体知ったら碇君落ち込むだろうなあ。

この使徒私の零号機にあっという間に侵食したらこんな事するんだもんねぇ。人の心の中探るんじゃないわよまったく。でも私って人もどきだっけ。やだなぁ〜〜。

でも関係ないわよねぇそうよそうよ。デリカシーの無い奴は人でも使徒でも嫌いだわ。


何が「心が痛い」よ。私独りぼっちだったんだから。ずっと。叔父様なんで傍に置いてくれなかったんだろう。私の事怖かったのかなぁ。奥さんそっくりだもんね。存在しているはずなのにいない奥さんとそっくりの女の子なんて怖いわよね。


あれ?何で私泣いてるの。何故?


あっこの使徒、初号機に碇君に侵入した。駄目。私はいいわ。同類だもの。でも駄目。碇君は駄目。どうしても駄目。とにかく駄目。許さないわ。


使うわ……MODE−D


「レイやめなさい」


ミサトもう遅いって……リツコもそんな顔してホントは嬉しいんでしょ……ごめん。やっぱり消えちゃうのって怖いから。悪口言わせて。


アスカあんたバカね。いつもキーキーうるさいわ。ねえ……そんなに頑張らなくっていいよ。もっと皆に甘えていいよ。皆は敵じゃないんだから。


ミサト……偽善者……違う。やっぱり優しいのよ。もっと非情に成らないと辛いよ。私が死ぬのは理論的なんだから。そっか。私の予備なんて有るの知らないんだ。嬉しいけど見捨てていいよ……。


リツコ……趣味悪いわ。なんで叔父様好きなの。あんな酷い目にあわされているのに。どうして?大人って判らない。もっといい人見つけてよ。叔父様は私達と行くしかないんだから。


碇君……。私……って何なのかなぁ。使徒?人間?成りそこないの神様?でもどうでもいいわ。私好きなのかなぁ。碇君私の事知ったらどうなるのかなぁ。ねえ。今はこれだけかな……知りたい事。




私の事好き?




あっMODDE−Dが発動する。ねえ叔父様……私の三人目……皆の事好きかしら……ねえおじさ……………………





閃光が走る。





「うん……覚えてないの?」

「いいえ、知らないの。多分私は三人目だと思うから」

 

 

其の弐 

 

 



う〜〜ん……なんで私こんなボロボロのマンション住んでた訳?マンションというより幽霊団地よねぇ〜〜。乙女の住む所じゃないわぁ。前の私何考えてたのかなぁ?こ
ういう記憶は残って無いのよねぇ〜〜。叔父様都合悪いと思って消しちゃったのかしら。

それにしても殺風景ね。ん?この割れたメガネ何かしら。邪魔ね。ゴミ箱へポイっ……と捨てるのももったいないし。取り敢えず取っておこうっと。レイちゃんって物を 大事にするいい子ねぇ〜〜その割には自爆しちゃったけど。

さてと……どうしようかなぁ。それにしても何で私自爆したのかなぁ。そんなに碇君好きだったのかなぁ。最後の記憶のバックアップ二日前だから状況で判断するしかな
いし。う〜〜ん。変ね。残ってる記憶からだとそこまで好きでは無かったような……。

…………聞いてみよっか。私の事好きって……。

あれ……何か懐かしいなぁこのセリフ。

あれ……初めてなのに……初めてじゃないような気がする。

あれ……涙出て来ちゃった。

何故なの……私の事好き……私の事好き……。

聞きたい……碇君に聞いてみたい。アスカにも聞いてみたい。私の事全部話して聞いてみたい。なぜ……何故涙が出るの……。




よぉ〜〜し。レイちゃん聞きに行くわ。叔父様怒ると思うけど……ごめんなさい叔父様。リツコに頼もう。叔父様を放さないでって。あれ?なんかこんな事前にも考えたような……。




「ファースト何しに来たのよ」

鋭い視線が突き刺さる。

「アスカ……私の事好き?」
「へ?何言ってるの……アンタ何泣いてるの」
「綾波……怪我痛むの……」
「碇君……私の事好き?」




 

 

 

其の参

 



あ〜〜あ。碇君もアスカもミサトも固まってる。そりゃそうよねぇ〜〜。いくら私のクローンがいっぱいいるって先に説明しても、目にする事とは違うからね。水槽に私がぷかぷか浮かんで笑ってたら固まるわよね。あ〜〜あ。リツコは嬉しそうだなぁ。私の事嫌いなんだ。

あっ碇君私から離れた。そうなんだ……そうよね……うん。気持ち悪いよね。脅えてるの?嫌悪感?やっぱり私人間じゃないんだ。別に人間でなくてもいいけど。でも……碇君もしかしたらって思ったのに……そうだよね。なんかレイちゃんも見てられないなぁ。下向いちゃお。




ん?この足だれ?近づいて来たの?あっアスカ。

アスカは……あれ見つめてる。恐くないの?私化け物よ。ほら使徒やユイさんやいろんな物がごちゃまぜになって出来た物なんだよ。その証拠に碇君あんな目で見ているよ。レイちゃんお化けなんだよ。ねえ……。

「ファースト……あなた人形ね」

……とどめかぁ。そうかぁ。私憎しみの対象でもなくなったのね。そうなんだ。ラッキー。恐い目で見られるよりずっといいもんね。
でも……また涙出て来ちゃった。変ねぇ。レイちゃん人形なのに。

えっ?何?なんでアスカ抱き付くの?

「あんた、私と同じね。私も私自身の操り人形よ。同じ様にNERVで育てられて。構成物質と個体数が違うぐらい」
「えっ?」
「ねえ……レイ、あなた何を望むの?これを見せて何を望むの。私は変わらない……弐号機よ」

アスカが私を離す。アスカ私を見ている。アスカってこんな優しい表情出来るの……。

私の望む物…………

「……碇君の笑顔」
「シンジ……アンタこれを見て聞いて何を思うの」
「……」
「聞いた私がバカだったわ。答えるのに一生かかるわね。レイ答えを聞くまでがんばって生き残る事ね」

アスカありがとう。碇君……俯いている。

「レイ……司令とはどうするの」
「赤木博士……私……碇君が好き……碇君がそうじゃなくても」
「そう。好きにするといいわ」

どういう事だろう。どういう事?私好きでいていいの?叔父様を裏切っていいの?

カチ

あっ私達が溶けて行く。私達が……

「あなた何やっているのか判ってるの?」
「ミサトいいじゃない。これでシンジ君はこのレイの物、司令は私の物……うふふふふふあははははははは」
「リツコ……」
「ははははは」

赤木博士が出て行く。大丈夫?ごめんなさい。

皆が溶けて行く。私一人に成るの……私……私達じゃなくなる……恐い……私……

「碇君助けて……私が……恐い」
「綾波」

あっ暖かい……碇君の手……碇君の体震えてる……私と同じだ……碇君の胸……暖かい……嬉しい……みんなごめんね

 

 

 

 

其の四 「歌はいいねぇ♪♪♪♪」

 


あ〜〜あ……碇君抱きしめてくれたけど……やっぱり目に脅えが有るのよねぇ。当然かなぁ……そうだよね。まあいいかぁ。くよくよしたらレイちゃんじゃないしぃ〜〜。良かったかもしんない。まっアスカが不思議と元気に成ったし。私の境遇に比べればって所かなぁ。納得と言えば納得。レイちゃんって自分を犠牲にして恋人と友人の危機を救うなんて……け・な・げ

アスカ木陰でグースカ寝てる。この一ヶ月シンクロ率低下で殆ど寝られなかったって言うし。アスカって本当は寝る子は育ち過ぎってタイプなのね。ドイツッ子だしビールとソーセージで将来は巨乳デブタイプかな。

それにしても碇君もう少し近くに寄ってくれないかなぁ。でも不思議よね。碇君が二人目の私を悼む為に自爆跡に来ようなんて。

あっ

もしかして……碇君って二人目の私だけ好きなの……そんなの……でも……あり得る。じゃあ……私何なの……やっぱり……前の私に似た人形……そんなのって……

えっ

 レイちゃん自分自身に嫉妬してる……

 完全に馬鹿ね。でも……私は私じゃないし……私ってどこにいるんだろう……記憶の中にいるのかなぁ……私が私なのは…………う〜〜〜〜ん……レイちゃんわかんない 〜〜……でも私は私なのに……碇君……何か辛いなぁ……でも我が侭なのかなぁ……前の私こうやって一緒にいる事も出来なかったし。まっ生きてるだけで見っけものぉ〜〜って二度死んでるけどぉ。

 悩んでもしょうが無いかなぁ。LCLの外だとネルフの医療技術があれば10年、無いと5年が残りの寿命だって博士言ってたしぃ。世の中ハッピーで行かなくちゃ。5年有れば……ぐふふ……碇君といろいろ出来るしぃ


 あ〜〜あ 長くて10年かぁ


 ん?何か変な感じ……

 フンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフンフ〜〜ンフフン♪♪♪♪

 「歌はいいねぇ〜〜」
 「え?」
 「へ?」
 「ぐ〜〜〜〜」
 「歌は心を潤してくれる。リリンが生み出した文化の極みだよ。そう感じないか?碇シンジ君、綾波レイさん、惣流・ア……寝ている様だね」

 この感覚…………

 「あなた誰?」

 判るような……判らない様な……

 「おっと。睨まないでくれないかい。僕はカヲル。渚カヲル。君達と同じ、仕組まれた子供。フィフスチルドレンさ」
 「フィフスチルドレン?君が、あの、渚君?」
 「カヲルでいいよ、碇君」
 「僕も、シンジでいいよ」
 「君はなんと呼べばいいのかな」
 「好きにしたら……」
 「では綾波さん」

 判ったわ…………私の同類ね……

 

 

其の伍

 

 ここがあのすかしフィフスの部屋なんだ。いよいよ対決よねぇ〜〜。それにしてもアスカが知らせてくれるとはね〜〜昨日碇君ここに泊まったって……。ガニ股にはなっていなかったってアスカ言ってたけど……ってアスカ何考えてるのよ。ほんと耳年増なんだから。碇君の始めての相手はレイちゃんよ……でもそのせいで碇君体怪我したりしないかなぁ。私のあの辺りの構造は人間と同一だって博士言ってたけど。初体験で双方即死なんてやだし〜〜死ぬ死ぬって言うのは言葉だけにしたいわよね……おっと今は妄想は置いておいてと。

 入りずらいわ。私何しに来たのかなぁ。あいつは私と同類だけどなんか違うのよね。男と女の差かなぁ…………大体私って女なの?ん〜〜女の定義……っていうか、私や いつって性別有るのかなぁ。一応レイちゃん第一次性徴は女だけど。生理無いし、う〜〜ん謎よね。

 ぽん

 つい古典的な事やっちゃったわ。碇君男だから好きになる私は女……って事も無いわよね。男どおしも最近は有りそうだし。

 「何をぶつぶつ言っているんだい」
「何ってその……へ?」

 うわぁフィフスじゃない。後ろを取るとは侮れないわ。

 「何か用かい」
 「何故そう思うの」
 「僕の部屋の前で立ったまま5分も呟いていればそう思うよ。入らないかい」

 コクリ

 ここは虎穴にいらずんばよね……愛の為には乙女は強くなるのよ。
 ふぅ〜〜ん極普通の部屋ね……って言うか私のマンションの……団地の部屋が酷過ぎなのよ。そうだミサトのマンションに移ろうっと。一挙両得ね。ぐふ……新婚生活、小姑二人いるけど。

 「君は独り言が好きな様だね。立っていないで座ったらどうだい」

 ニコリ

 取り敢えず座ろうっと。それにしてもこいつ……結構いい男……碇君よりは数段落ちるけど。おっと私もこいつも男か女か判らないんだっけ……って言うか私達って増えるのかなぁ?有性生殖だったらともかく単為生殖だったら……少し嫌……でも私は私達がいたぐらいだし……悩むわ……なんか変ねぇ……私こんな事ばっかり考えてる。碇君の事男の人として好きになったのかなぁ。

 「君はシンジ君と一緒にいたいんだね」
 「なっ何故そういう事言うの」
 「さっきから独り言で全部話しているよ」

 うっ……敵に内心を知られるなんて、レイちゃん不覚。

 「君は今は向こう側にいるみたいだね。こちらへは来ないのかい?」
 「向こう?こっち?」
 「そうだよ……君も判っているんだろう」

 向こう……こっち……なんとなくね。でも言いたくないなぁ……口にしたら終わりの様な気がするし。

 「残された時間はそんなにないんだ。決めないとね」

 残された時間……か……

 

 

その六

 



「嘘だ嘘だ嘘だ。カヲル君が彼が使徒だったなんて、そんなの嘘だ」
「事実よ。受け止めなさい。出撃、いいわね」
「私の弐号機が」

碇君が悲しんでいる。アスカが泣いている。
使徒……ね。彼は……。
レイちゃん許さないわ。難しい事はいいの。碇君が悲しんでいる事……アスカが泣いている事が全てよ。




「さあ僕を消してくれ」
「カヲル君」

駄目碇君殺しちゃ。

えい

「やあ綾波さん。君も来たのかい」
「綾波」

 碇君動揺している。そりゃ私が空中を浮かんで走ってフィフスの顔の前に来たら驚くわよねぇ……フライングレイちゃん飛行少女ね、秘孔少女じゃちょっと危険、そうだ 鳥人コンテスト出てみようかしら……優勝よね。
 あっ……こんな初号機の手の上で仁王立ちだとフィフスにパンティ丸見えじゃない。正座で足をぴっちり合わせてっと……。

「碇君には滅ぼさせない……私がする」
「そうかい」

ニコリ

「君はシンジ君に好意を持っているんだね。君は僕と同じだね」
「違うわ。私は……」
「人間かい?」

痛い所を突くわね。

「ところで君は僕を滅ぼしたいんだろう」

何こいつ嬉しそうに言っているの?

「君は優しいね。愛しい人の手を汚したくないんだね。簡単だよ。僕のコアとSS機関は喉に有るから、君のATフィールドで首を砕けば滅びるよ」
「そう」

何でこんなに簡単に話すの……

「不思議かい?君もその内判るよ……さあ早くしないとシンジ君が僕を滅ぼすよ」

そうだわ。手刀の先にATフィールドを集中……出来た。これで一気に首を……

「早くしないのかい?」
「するわ」

こいつなんで嬉しそうなの。何で私手を振り降ろせないの……。同類だからかなぁ。私一人になるかも知れないから?

「綾波何をしているんだ。綾波とにかくそこをどいて……」

碇君…………

「綾波君……君は何を望むのかな?」
「碇君」
「ならそうすればいい……それが全てなら」

そして……第17使徒の首はLCLの中に落ちて行った。




「綾波……なんでカヲル君を殺したの」
「碇君彼を殺したら苦しむから」
「そう」
「綾波って……カヲル君と同じなの……」
「うん」
「そう」

碇君……そんな目で見ないで……レイちゃんだって……

「レイ……」

葛城三佐も……

「あなたはどうする気……」
「何が……」
「あなたがフィフスと同じなら……私は……」
「私は……碇君が好き……」
「そう……なら安心……か」

でもあいつも碇君を好きって言っていた。私がああなったら碇君が私を……

 

 

 

其の七

 



 それにしても持つべき物はマッドな知り合いよね。戦自の部隊を
あんな秘密兵器で殲滅なんてさすが21世紀最強のマッドと言われ
るだけ有るわ。さすが一子相伝のマッドは一味違うわね。ミサトも
使徒戦だとメチャクチャな指示ばかりだけど人間相手の実戦は強い
のね。さすがトシマーズだわ。

アスカは可哀想。弐号機アソコまでズタボロにされると修復不可
能ね。コアも割られたし……でもこれでキョウコ叔母さんも成仏出
来るわね。ゼーレのEVAも碇君が初号機で壊滅させたし、偽物の
ロンギヌスの槍も全部宇宙に捨てちゃったし。これで碇君は安全よね。

 それにしても被害が大きすぎるなぁ。ミサトもオペレーターの人
達も行方不明だし。叔父様には悪い事したかも。だけどユイさんに
会いたいからって人類を道連れはやり過ぎよね。あっ初号機が弐号
機のプラグ持って来た。プラグは奇跡的に無事ね。碇君が話してる
からアスカは大丈夫みたいだけど。

 地面に置かれた所でハッチを開けてと。アスカも呆然としている
わね。

 「アスカ」
 「レイ……ママいなくなっちゃった……私また一人になっちゃった」

 アスカ凄く疲れている感じ。

 「動ける?」
 「どうにか」

 外に出たのはいいけどプラグにもたれて座り込んじゃった。あっ
碇君が降りて来た。

 「アスカ大丈夫?」
 「体は……」

 アスカつらそう。

 「少し一人にして」
 「うん」
 「綾波少し離れよう」
 「うん」

 碇君と二人だけだけど哀しいなぁ。ジオフロントで生き残ったのっ
てほとんどいないのね……

 「綾波……母さんをあそこから開放するのってどうすればいいの」
 「コアを壊せばいいと思う……ロンギヌスの槍で」
 「そう……綾波出来る?」
 「本当にいいの?」
 「うん」

 叔父様ごめんなさい。でも今のユイさんやっぱり不自然だと思う。

 「じゃあする」

 ATフィールドで槍を持ってと……えい

 刺さった……あっ……コアと槍が両方とも崩れてく……
 砂の様……そうか槍って初号機の物だからなんだ……
 碇君泣いてる……

 「碇君……」
 「これで良かったと思う……もうEVA要らない」

 えっ……抱きしめてくれるの……私使徒よ……
こんな時だけど……嬉しい……

 「ユイぃぃぃ」

 えっ叔父様……博士に支えられて……生きてたのね……
その名前を言うなんて……リツコつらそう……

 「何故コアを……」
 「母さんを開放したかった」
 「ユイ……」

 叔父様座り込んじゃった。ぶつぶつ言っている。目付きが変……
博士……哀しそう……叔父様がああじゃ……ごめんなさい……

 「レイ何て事したの。あなた……死ねなくなったのよ」
 「えっ!!」
 「全てのEVAのコアがつぶれた以上EVAは作れない。ロンギ
ヌスの槍も無くなった。偽者の槍ではあなたは滅ぼせない……あな
た永遠にその姿で生き続けないといけないのよ」

嘘……そんな……

 「綾波……」

 碇君……どうしよう……

 「あなたはATフィールドを使った為完全に使徒に成ってる。そ
れも人の心を持ったまま……もう人間に戻れない。あなたシンジ君
が死んでも、人類が滅びても、全ての生き物が死に絶えても生き続
けるのよ」

 リツコ……その目……私を哀れんでるの……私……震えてる……

 「碇君……どうしよう」
 「綾波……僕のせいで……綾波……」
 「碇君……私どうしよう」

 フィフスの言った事が判ったわ……
 碇君……私……
 どうしよう……
 碇君……
 怖い……
 碇君……

 

 

 

其の八

 



 あ〜〜あ……これで本当に独りぼっち……この人最後の人類だった
のに……この人最後までレイちゃんの事神様だって思ってたなぁ……
ただの作り物なのに……
 お墓作ってあげなきゃ……
 お墓か……碇君のお墓参り行かなきゃ……碇君が死んで何千年たっ
たんだろ……結局碇君もアスカも二十歳前に死んじゃった……EVA
に人が乗るのがもともと無理だったんだってリツコ泣きながら言って
たわね……EVAに乗らなきゃ長生きできたのにって。
 リツコは結構幸せだったのかも。叔父様少しおかしくなったけど、
リツコは最後まで傍に居れたんだし。リツコ死の寸前まで、私が滅び
る方法研究してくれたっけ。

 碇君……碇君私をお嫁さんにしてくれたっけ……それにしても使徒っ
て不感症だって知らなかったわ。碇君僕が下手なせいでっていつもす
まなそうにしてたっけ。別に碇君のせいじゃないのに。もともと完全
生命体に有性生殖は無いから性感も無いだけなのに。
 アスカ……結局完全には立ち直れなかったっけ……ずっと私達と住
んで居たっけ。三人で震えながら寄り添って居たっけ。永遠が怖い使
徒と罪の意識でつぶれそうな小年と全てに脅える少女とで。最後は三
人で夫婦みたいだったなぁ。

 さてとこの人のお墓掘りに行かなきゃ。私何人の人を見送ったんだ
ろう。それにしても……私いまだに第一中の制服って所が凄いわね。




 ぺんぺん死んじゃ嫌

 くぅ〜〜

 あっ ぺんぺん……本当に本当に地球で独りぼっちになっ
ちゃった。あなたが最後の鳥だったのに。
もう陸上に大きな動物は居なくなっちゃった……小さな虫だけ……

 ぺんぺん……

 ぺんぺん……かぁ……あの温泉ペンギンのぺんぺんが死んでもう何
万年経ったんだろう……この子が生まれた時なんとなく思い出したの
よね……だからそう名付けたんだっけ……私と同じ作られた命……ぺ
んぺん……寂しいよぉ……ぺんぺん




 太陽小さく白くなったなぁ……もう何億年前だろう……太陽が赤く
大きくなった事あったっけ……あの時はずっとATフィールド張って
地球と月を守ったのよね……ここは……地球は大きいお墓だから……
守らないと……碇君……私何億回何兆回言ったんだろう。




 膨張宇宙って嫌ね……もう空に星も見えなくなっちゃった……何百
億年前に地球もとうとう太陽からはぐれたし……もう永遠に何の変化
も無いのね……碇君……会いたい……私本当の神様だったら良かった
のに……




 どのくらい経ったんだろう……もしかしたら時間が止まっているの
かなぁ……物質もいつかは崩壊して無くなるって本当だったんだ……
地球も全ての物質も無くなったし……宇宙に存在しているのってレイ
ちゃんだけなんだ……宇宙なんか初めから無かったら良かったのに……

 それにしても私まだ第一中の制服なのかしら……こう言う時SS機
関便利ね……永久機関だからいつでも光作れるから……明るくしてっ
と……やっぱりこの格好かぁ……えっ永久機関……永久機関って無限
の出力を出せるのよね……なら……ビックバンも起せるじゃない……
さすがのレイちゃんでも滅びるわ……それでも滅びなかったら無限に
繰り返せばいいんだ……きっといつか出来る宇宙で碇君に会える……
何でこんな簡単な事思い付かなかったんだろ……レイちゃんってお茶
目……てへ

 よ〜〜し……何兆年ぶりだろ。やる気出て来たわ。ここはレイちゃ
ん一生一代の芸を見せなきゃ。声出すのも久しぶりね。

 「あ〜〜あ〜〜 本日は晴天なり 空気が無いのに何故声が出るん
だろ。細かい事は無視無視。じゃ行くわよ」

 レイは気合を込める。

 「一番、ファーストチルドレン、綾波レイ。究極の物真似行きまぁ〜〜





 光あれ!!!!」




 そして宇宙に光とエネルギーが満ちた。新たな宇宙が生まれた。




 おわり

 

 

 

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