新世紀エヴァンゲリオン

 

一人暮らし

 

綾波レイ物語

 

月夜裏 野々香

 

 第13使徒、バルディエル戦で、ジャージの少年が、ダミープログラムに制御された初号機に殺された。

 ・・・・心が痛む・・・

 碇君の逃亡。

 碇君は、悪くない。碇司令も悪くない・・・・使徒に負けた私が悪いのに・・・・

 諜報部は、碇君を発見できなかった。

 衛星は使徒に破壊されて使えない。携帯もカードも置いて行ったから。追跡が難しい・・・・

 2号機のパイロットの勧めで、一緒に加持室長に捜索を頼んだ。

 彼が3重スパイなのは、聞いていたのに、なぜか、2号機のパイロットの提案に応じた。

 

 力が出ない。体が重い。気持ちが沈む。

 考えているのは、碇君のことだった。碇君との思い出が湧き上がってくる。なぜ?

 ・・・初号機のパイロットだから・・・・戦略的損失・・・・・少し違う・・・

 ・・・不安・・・心配だから・・・

 ・・・碇君が心配・・・・・碇君が消えてしまうのが怖い・・・・

 生活が色褪せて灰色になっていく・・・・・なぜ・・・・寂しい・・・悲しい・・・・・

 ・・・・碇君・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 碇君が戻ってきた。戦自と一緒だった。

 ・・・・生きていて良かった・・・・・安心する・・・・・

 ・・・・・・・碇君がジャージの少年のことで怒っているのがわかる・・・・

 碇君の隣の女の子と眼が合う。見覚えがある・・・・・誰?

 ・・・・嬉しいのに・・・・不安・・・・

 ・・・・・声を掛けられない・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 碇君が戦自と一緒に去っていく・・・・・

 ・・・・・待って・・・・・言えない・・・・

 ・・・・・・・碇君・・・・・私が悪いの・・・・・

 ・・・・・・使徒に負けたのは、わたし・・・・

 ・・・・・だから・・・・・・碇司令は間違っていない・・・・・・

 ・・・・・ダミープログラムも・・・・わたし・・・・・

 ・・・・・碇君の隣の女の子と目が合う。

 ・・・・・・碇君が行ってしまう・・・・・・・

 ・・・・・わたしを見ようともしない・・・・

 ・・・・・私を責めて・・・わたしを見て・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 第14使徒来襲・・・・ゼルエル・・・・

 初号機に拒絶された・・・・・わたしのダミープログラムが碇君を悲しませたから・・・・・・

 ・・・・死ぬのは怖くなかった・・・・わたしの替わりはいる・・・・

 ・・・・碇君・・・・・

 

 ベットで目覚めた時、自分が負けたのがわかった。

 ・・・・・・生きてる・・・・のは、碇君のおかげ?・・・・

 

 病院に碇君が見舞いに来てくれた。嬉しい。碇君が見詰めてくれて、手を握ってくれた。

 碇君の斜め後ろにいる戦自の女は・・・・霧島マナ・・・・

 彼女が剥いたリンゴは食べたくなかった。

 

 第14使徒殲滅。そして、戦自のNERV占領、碇司令の追放、碇君の復帰

 碇司令は・・・いない・・・私には、何も無い・・・・碇君・・・・

 碇司令は、追放されたと聞いていた。悲しい。それを碇君が決めた事が悲しかった。碇司令は悪くない・・・・・。

 悪いのは、使徒に勝てなかった私・・・・・・

 

 

 赤木博士に連れられて碇君とセントラルドグマへ

 碇司令の遺産を相続させるという・・・・・・行きたくない・・・・・碇君・・・・

 ・・・・碇司令は・・・いない・・・そして・・・・碇君も・・・・・

 ・・・私には、何も無い・・・・・

 

 

 ヘブンズドアの向こうで

 ・・・・・・・・足が重い・・・・・・・・

 ・・・・碇君が水槽を・・・見ている・・・・・・

 ・・・・・・・・見ないで!・・・・・

 ・・・・私の正体を碇君に知られた・・・・

 ・・・・・・・・体が凍り付く・・・・・・・・

 ・・・絶望で消えてしまいそうだった。

 ・・・・やっと戻ってきた碇君。

 ・・・・碇君を見ることが出来ない・・・・・

 ・・・・・・怖かった・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・逃げ出すと思った・・・・・

 ・・・・・・寂しかった・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・嫌われると思った・・・・

 ・・・・・・悲しかった・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・人間じゃないと・・・罵られる・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・・心が痛む・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・私から永遠に遠ざかると思った・・・・

 ・・・・・・涙が零れそうになる・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・・・・・・・?・・・・・・・・

 ・・・・碇君が私をやさしく支えてくれた・・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・それだけで十分だった。

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・そして、やさしく包んでくれた・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・・信じられなかった・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・そして、私を一番好きといってくれた・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・・うそだと思った・・・・

 ・・・・・もう一度好きだといってくれた・・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・・信じたかった・・・・・・・

 ・・・・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・気付くと碇君にしがみ付いていた・・・・・・・

 ・・・・・・・・涙が溢れて零れてくる・・・・・・

 ・・・・碇君が恐々と抱きしめてくれた・・・・

 ・・・・私が怖いの?・・・・・・

 ・・・・碇君しかいなかった・・・・・

 ・・・・碇君が優しく見つめてくれる・・・・・

 ・・・・幸せだった・・・・・

 ・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・碇君・・・・・・

 ・・・・心が張り裂けそうで苦しかった・・・・

 ・・・・碇君をもっと見つめたかった・・・・・・

 ・・・・碇君が近付いてくる・・・・

 ・・・・眼を閉じる・・・

 ・・・・唇が重なる・・・・・

 

 ・・・・・・・・碇君と、一つになりたい・・・・・・

 

 

 いつも碇君のことを想っている。

 碇君の料理を作るのが嬉しい。

 碇君の役に立てるのが楽しい。

 碇君に微笑んでもらえると心が弾む

 戦自の女が碇君のそばに近付いてくる。二号機のパイロットが遠巻きに見ているのがわかる。

 碇君が好きなのがわかる。

 ・・・・エヴァのパイロットだから?・・・・

 ・・・・わたしは?・・・そうかもしれない・・・・

 ・・・・それだけじゃない・・・・

 ・・・・・・碇君がわたしを人間じゃないと知っても好きと言ってくれたから・・・・・

 ・・・・碇君・・・・・

 

 ・・・・・・・・碇君と、一つになりたい・・・・・・

 

 

 碇君とのダブルエントリー

 碇君の気持ちが伝わって、体と心が重なっていく

 幸せだった。

 ・・・・・・・碇君と、一つに・・・・・・

 

 

 青髪紅眼の娘が二号機から出てきた。

 自分を惣流・キョウコ・ツェッペリンと言ってる。

 二号機のパイロットに似ている。

 朝霧ハルカ。親しげに話しかけてくる。わたしと違う。

 碇君の提案?

 碇君は強くなっている。

 あの戦自の女のせい?

 嬉しいけど少し寂しい。

 

 

 第15使徒アラエル殲滅

 

 

 赤木博士をリツコちゃんと呼ぶ。朝霧ハルカ

 いつの間にか、赤木博士と仲良くなっている。

 自分と同じ・・・人間じゃないのに・・・・

 ・・・・・わたしが悪いの?・・・・・・

 それでも碇君が優しくしてくれるのが嬉しい。

 碇君と社交ダンス?

 朝霧ハルカが出した要望書にサインする。

 

 同級生が徴兵される。メガネの男がいる・・・・碇君が心配・・・

 でも、碇君も強くなっているような気がする。

 

 

 第16使徒アルミサエル殲滅

 

 人類補完計画原案・・・・碇君のための仕事・・・・生きている実感が湧く。

 成功すれば、第17使徒、渚カヲルと戦わなくても良くなるかもしれない。

 碇君が渚カヲルと戦えば悲しむことになる。それだけはいやだった。

 人類補完計画原案は、問題が多かった。資源の枯渇と直面するが、碇君が選択した。

 どの道、碇君がいなければ人類は滅んでいたのだから、彼に従う。

 ・・・・碇君と、一つになりたい・・・・

 

 

 レストランで、朝霧ハルカが親しげに話しかけてくる。

 「仲良いのね。ケンカとかしないの?」ハルカ

 「し、しません」シンジ

 「しないわ」

 「ふ〜ん。羨ましい。仲が良いのが一番よ・・・・二人は結婚するの?」ハルカ

 「ぼ、僕は、綾波と結婚したいと思っているけど」シンジ

 ・・・・・・結婚!・・・・・

 「・・・・・碇君」レイ

 「へえ〜。いつ?」ハルカ

 ・・・・・・結婚・・・・・

 「・・・・高校を卒業してから・・・」シンジ

 「・・・碇君・・・」わたしは、頷いた。

 「そう・・・・レイちゃん。がんばらないと他の娘にシンジ君を盗られちゃぞ。マナ、アスカ、チアキ、ヒカリも狙っているからね」ハルカ

 わたしは、頷いた。

 ・・・・・碇君と結婚・・・・・碇君・・・・・

 ・・・・魔法にかかったような気持ち・・・・

 ・・・・・碇君・・・・少し、ずるい・・・・気がする・・・

 ・・・・・でも嬉しい・・・・・・・碇君・・・・

 

 

 惣流アスカ、霧島マナ。お互いに名前で呼び合うようになると、それまでと違って見える。二号機のパイロット。戦自の女と呼ぶより、近くにいるような気がする。

 ・・・・・・・固有名詞の不思議・・・・・・・・

 碇君は、最初から・・・・碇君・・・と呼んでいたのに

 あの二人は、二号機のパイロット。戦自の女と呼んでいたのは、なぜ?

 

 

 第17使徒ダブリス来襲

 

 ダブリスは、少年だった。渚カヲル。シンジ君のそばに近付く・・・敵・・・嫌悪感が感じる。

 碇君は、渚カヲルと仲良くなっていく。

 ・・・・・・敵・・・・・・

 彼は、筋萎縮性側索硬化症だった元人間・・・・そして・・・敵・・・

 ・・・・近すぎる・・・・・心の奥に力が湧き出そうになる・・・・ATフィールド?・・・・碇君に見られたくない・・・・

 ・・・碇君を守りたい・・・・・碇君と渚カヲルが親しくなっていく・・・・・・駄目・・・・いけない・・・・・

 ・・・いえなかった・・・・・碇君の気持ちが大切だから・・・・・

 

 

 渚カヲル・・・彼が来て一つだけ良かったのは、釣りが楽しかったこと・・・・・

 

 

 NERVとゼーレの戦雲が高まっている

 なぜ? 戦うほどの理由は無い。

 人類補完計画は、程度の差があれ実行しなければ、地球の資源が枯渇して人類は、身動きが取れなくなる。

 なぜ? リリン同士で殺し合うの

 ・・・どうでもいいことなのに・・・・・リリン同士で闘争するほうが愚かなのに・・・・

 なぜ? ゼーレは攻撃してくるの?

 なぜ? NERVは反発しているの?

 ・・・ゼーレ案でも、碇司令の案でも・・・

 ・・・どちらでも人類は生き残れるのに・・・・

 なぜ? 最後の使徒がいるのに・・・リリン同士で戦おうとするの?・・・・・・

 わたしは、ゼーレ案、碇司令案のどちらも良かった。

 碇君と一つになれさえすれば、質的な違いだけ。

 碇君がゼーレと碇司令の人類補完計画に反対し、碇ユイの人類補完計画に賛成した。

 碇ユイの人類補完計画の原案は、簡単に理解できた。

 ・・・・・・・・解決できない・・・・・・・・

 地球資源の枯渇と宇宙開発の競争が少しだけ有利になるだけの先送り・・・・・・

 わたしには、碇君しかいなかった。碇君の望みを叶えるのは、嬉しく、生きている喜びを感じる。

 人間でない私を愛してくれる碇君は、私の全て。碇君の敵は、私の敵。碇君の味方は、私の味方だった。

 バウンドインパクトは、合理的に解決するためだ。不確定要素は渚カヲルだけ

 

 サードインパクト&バウンドインパクト

 

 結果的にリリスの星。地球は、リリン系種族が継承した。優秀な種族が星を継承したのなら。それは、それで良かった。優秀でない種族が星を継承してしまうほうが悲劇。

 碇君の望み通り、計画が成功した時。碇君が手を繋いでくれた。それだけで嬉しかった。自分自身を初めて誇らしいと思った。

 

 

 最終戦争の後

 

 精神感応社会。サードインパクトで人と人が融合。バウンドインパクトで融合した生命体が還元して群れに戻った世界。

 人と人の心が結びついた社会。以前と違う。シミュレーションとの差異が少しずつ広がってくる。

 エヴァンゲリオンに搭乗していた碇君とわたし。二号機のパイロット。そして、朝霧ハルカの4人は、人類補完計画。精神感応世界から外された。人の心がぼんやりと読める世界。

 

 孤独感はなかった。

 わたしと碇君は心身感応で精神感応より、もっと近かった。

 碇君といるだけで生きている喜びが感じられる。

 

 碇君と大穴が開いたジオフロントの外周を歩く。

 少しだけ指と指が絡むだけで気持ちが余計に伝わって安心できた。

 互いに見つめ合う。なんとなく恥ずかしくなって前を見る。

 碇君に愛されているのがわかる。何かに満たされると頬が緩む。

 変な顔をしているのか、人の気配が集中する。

 碇君が立ち止まって、大穴を覗き込んだ。

 天井都市が破壊され、10kmも大穴が開いたジオフロント。

 柵が設けられて観光スポットになって道の反対側に露店が並んでいた。

 底が見えなかった。一周回るつもりだろうか。碇君を見るが決めてないのが伝わる。

 どっちでも良いことだった。3時間もあれば一周回れる。一緒に歩いているだけでも良かった。

 第3東京市は破壊されていたが、使徒戦と戦争が終わると活気付いたように経済が回りだしていた。

 口座も制限されていたが使える。しかし、水や食料。日用品を手に入れるのは、それなりに大変だった。

 それでも山向こうまで行って水や野菜、米を汲んできて売る人間が現れる。ルートが出来れば売り上げは確実だった。

 インフラ整備は、これからで精神感応社会の再構築もこれからだ。

 

 使徒戦が終わったあとも一人。第17使徒 渚カヲルが残っていたが、リリスは存在しない。

 渚カヲルは、敵対行動を取るつもりはないようだ。

 でも渚カヲルが碇君に近付くと緊張する。

 碇君は、時々、碇司令のことで謝る。

 悪いのは、使徒に勝てなかった私なのに、私が勝っていたら。司令も追放されずに済んだのに・・・・

 でも碇君と一つになりたいという気持ちは変わらなかった。一緒にいられるだけで幸せ。

 最初は、碇司令の息子としか思わなかった。不思議だった。好きという気持ちがどこから埋まってくるのかわからない。

 そして、いまは、それが全てだった。

 

 

 「シンジ君〜」マナ

 霧島マナが走ってきて碇君の反対側に回って腕を組む。

 碇君が困っているのが、わかる。そして、拒絶できない。理由も伝わる。そう、霧島マナも碇君が好きだった。

 元気で弾むような姿と機転の速さは、羨ましいほどだ。

 霧島マナは、時々、遠慮がちにこっちを見る。多分、私が碇君の婚約者になってからだろう。

 惣流アスカも碇君から距離を置いている。仲良くしたいのなら。やさしくしてあげれば良いと思う。

 そう思うと、気持ちが伝わって碇君が動揺する。

 「マナは、買い物?」シンジ

 「うん。今夜は何が良い? 碇君」マナ

 今夜は、霧島マナの担当だった。

 「ま、任せるよ」シンジ

 「そう・・・じゃ・・・・何にしょうかな〜」マナは、露店を眺める。大穴の周りが観光スポットと商店街を兼ねていた。

 「今日は、アスカと一緒じゃないんだ」シンジ

 洞木ヒカリが渚カヲルと一緒にいることが多くなると、惣流アスカは、霧島マナか、伊吹マヤといることが多くなっていた。

 「マヤと金儲けの話し。シンジ君がアスカにお金渡しちゃったでしょう」マナ

 「・・・・うん。生活する分は、残しているけど。お金の使い道なんてわからないし。アスカが世の中のために使っているのなら手伝いたいんだ」シンジ

 「南半球開発関連企業に投資しているみたいね。特許契約もしているから二重取りね」マナ

 「そうなんだ」シンジ

 「シンジ君は、どこに行くの?」マナ

 「・・・・さ、散歩だけど・・・」シンジ

 「ふ〜ん。途中まで一緒に行って良い。買い物したら帰るから」マナ

 マナがわたしを覗き込む。一緒に一周回るつもりだとわかる

 わたしは、頷く。

 霧島マナがホッとした様に微笑む・・・・・碇君は、落ち着かない。

 ・・・・碇君を無事に連れ戻してくれたのは、霧島マナの力によるところが多かった。

 口に出さないけど霧島マナに好意を持ち感謝していた。

 碇君は、もっと胸を張って良かった。碇君がいなければ、リリン系種族は滅んでいた。

 霧島マナが時折、碇君に語りかけて、碇君が応えている。

 同じリリン系同士で安心感があって、話しが弾むのだろうか。

 ・・・・違う・・・惣流アスカの母親に近い朝霧ハルカは、自分と同じ青髪紅眼でアダム系人種。

 それなのに多くの友人を持っていた。そして、赤木博士とも親しかった。

 自分が悪いのだ。

 そう思うと碇君が優しく微笑んでくれる。それだけで幸せだった。

 

 ・・・・・碇君と、一つになりたい・・・・・・・

 

 碇君と時折、キスをする。その先は、結婚してから・・・・

 碇君は、監視されているのが嫌いなのか、照れくさそうにキスをするだけで終わる。高校を卒業するまで、まだ先・・・・

 本来の計画通りなら、自分自身は、媒体として消滅して、この世界にいなかった。それでも碇君の中で生きていくことが出来た。

 それも気持ちが良さそうに思う。

 

 碇ユイの人類補完計画原案は、問題ありだった。ゼーレ案でも碇ゲンドウ案でも地球の資源枯渇を、まったく気にしなくてよかった。

 人類を宇宙空間に放り上げるには、エネルギーが足りなかった。そして、精神感応能力。混乱が終われば人口が増える可能性は高く。科学技術やコミュニケーションで飛躍的に発展する可能性を秘めていた。しかし、同時にエネルギー消費も比例して大きくなる。間に合うか間に合わないか微妙だった。

 

 その日の夕食は、碇君、わたし、惣流アスカ、霧島マナ、渚カヲル、洞木ヒカリの6人だった。

 少しずつ、食材が多種多様になっていくのがわかる。

 霧島マナの料理は美味かった。

 アスカとマナが牽制し合っている。

 時々、惣流アスカがシンジの方を見つめているのがわかる。霧島マナも気付いているようだ。

 時々、洞木ヒカリが私のほうを覗き見ている。不思議だ。

 渚カヲルは、今度、ピクニック行こうと言い出し。碇君が賛成する。

 霧島マナは、当然のように護衛だからと行くと宣言。

 惣流アスカは、仕事だからと辞退するが、ヒカリが引っ張って参加を決める。

 内心は嬉しそうだ。

 

 

 夕食後。碇君と一緒にNERVに向かい。初号機に搭乗する。

 発電のためだ。

 碇君とのダブルエントリーは気持ちが良かった。

 ほとんど寝ているようなものだが、碇君と重なっているのを感じる。幸せに浸れる。

 碇君に何かをしてあげたかった。碇君が喜んでいる顔が見たかった。

 

 ハーモニックス率もシンクロ率も意識していなかった。

 シンクロが始めると重複率がすぐにMAXに達して、ハーモニックス率とシンクロ率が遅れて起動レベルを超える。

 碇君と一つになっていると感じる。

 そして、シンジ君と言葉にならない会話が始める。互いにつついているような、こそばゆい感覚。碇君がわたしの中に、わたしが碇君の中にいる・・・・そして、抱かれているような、包んでいるような感覚が広がる。

 一体感に満たされる。二人の重複率が上がり、自然とハーモニックス率もシンクロ率も上がって最適値で安定する。

 

 この状態が永遠であれば良いと思う。

 碇君・・・綾波・・・碇君・・・碇君・・・綾波・・・碇君・・・碇君・・・綾波・・・碇君・・・碇君・・・綾波・・・碇君・・・・・・・・・

 幸せすぎて怖いという気持ちにもなる。

 

 ・・・・・・・・・・碇君と、一つに・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 これは、月夜裏 野々香 小説の部屋 新世紀エヴァンゲリオン 一人暮らしの、綾波レイを主役にしたものです。

 シンジとレイは、婚約。マナが割り込んでシンジとラブラブになりたがり。アスカは、一歩退いたところで、初々しくシンジに想いをよせています。

 第17使徒 渚カヲルは、シンジとの友情関係と洞木ヒカリとのラブラブ状態が気に入ったのか、自分の戦いをゼーレとNERVが雌雄を決した後にすることにして、高みの見物をしていました。

 ところが肝心のリリス本体を消滅させられて、フォースインパクトが出来ず。取り残されて、シンジ達と戦後の学園生活に馴染んでいきます。

 そのうち、敗戦直後ともいえるような、環境でチルドレンたちの生活も書き綴って生きたいと思います。 


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