まっこう

 その日シンジが大学から戻ると一通の手紙が届いていた。2019年でもハガキや手紙は心を伝え合う重要な手段の一つだ。

「ありがとう」

「いつもの様に中身はすでに見ています、後で回収しますから」

「判りました」

シンジの家の入り口で待っていた女性の係官に手紙を渡された。元チルドレン同士の連絡は政府を通してのみ許され検閲後渡されている。

「ええと、赤木リツコ、ミツコ……綾波からだ」

「では……」

 係員はお辞儀をして去って行った。

 シンジは玄関の灯りを点ける。夕暮れに沈んだ廊下が明るくなった。誰も居ない一軒家はがらんとしている。同居人だったシゲルは去年テロで殺されていた。

 平屋の家は広い。奥の寝室に入るとベッドに仰向けに寝転がる。天井の監視カメラが目にはいるが気にしない。もう慣れた。たとえこの場で女と寝ても気にしないだろう。もっとも元チルドレンは人間の異性とSEXは許されていない。繁殖活動はするなと言う事だ。

「こんにちは碇君……か」

 いつもこの書き出しだ。シンジは声に出して読む。

「お変わりありませんか。私も博士も元気です。北海道は晩秋の晴天が続いています。稲刈りも終わったのでそのうち新米を送る事が出来ると思います。おじ いさんとおばあさんも天日で干したお米は美味しいと言っています。お米も送っていいように博士がかけ合ってくれました……そうなんだ」

 サードインパクト後戻って来た人々がまず始めた事は生贄を探す事だった。ゲンドウと冬月は戻って来なかった。本来なら次席のミサトやリツコに責任追求は 向かう筈だがそれがなぜかチルドレン達に向かった。人々は考えた。たとえEVAを使ったとしても、使徒と同じATフィールドを発生したチルドレンは、使徒 と同じか少なくとも人とは違う生き物だと。レイの情報が漏れたのもそれに輪をかけた。

 世論などいい加減なものだ。世論に押された国連と各国の政府によりチルドレン達は全ての権利を奪われた。

「最近は愛護団体のお年寄りがよく遊びに来てくれます」

 公開処刑を待つだけとなったチルドレンに思わぬ救い主が現れた。動物愛護団体である。人と同じ言語を話す世界で4体しか居ない高等生物を滅ぼす権利は人にないと、人に危害を与えぬなら生存権は認めるべきだと。

「みんな、もし人間ならあなたみたいな子を孫の嫁に欲しいねって言います。返事に困りますけど」

 結局世論という名の怪物が出した結果は「高等生物にふさわしい待遇を与えよう。繁殖されては困るがそれ以外の権利はほぼ認めよう」というありがたい物だった。

「そういえば私女に成りました。生理が来ました。博士が泣いてくれました。先週手術を受けました。私も初めて泣きました」

 元チルドレンから繁殖力を奪う為、シンジとトウジは睾丸の薬物処理、アスカは卵巣の薬物処理の手術を受けさせられていた。

「同じ様な手術を受けても洞木さんが羨ましいです」

 トウジの処分を聞いてヒカリが切れた。

「繁殖しなければいいのでしょう。トウジに女の子の不自由させない」

 恋は狂気かもしれない。愛する者の運命に几帳面な性格が災いしたのかヒカリは常軌を逸していた。愛用の柳刃包丁を下腹に突きたて子宮を自ら壊そうとし た。しかし本能の抵抗が強かったのだろう。それて大腸と小腸を傷つける結果となった。一命は取り留めたが手術の後も発作的に自分の下腹を傷つけようとし た。

何度も何度も繰り返そうとするヒカリを見て親代わりのコダマが結論を下した。

「ヒカリの好きにさせてやってください」

 またも訳の判らぬ同情と好奇心という世論の後押しを受けヒカリは手術を受けた。軟禁状態にあるトウジと住む事となった。トウジは一度使徒に乗っ取られた EVAのチルドレンの為隔離の度合も監視の度合も厳しかった。だが運命に見放された少年と少女は24時間の監視体制の間でもお互いを求め続けた。それしか なかった。今はずいぶん落ちついてきたが。処置も家に軟禁状態から、トウジ達の家が建てられた国連軍の基地内は自由に動けるように成った。もちろん監視は 付いているが。

「碇君はどうしているのでしょうか……きっといろいろな人に会っているのでしょうね。アスカもそうなんでしょうね。羨ましいです」

 本来ならサードインパクトの首謀者はシンジなのだろう。ただサードインパクト自体があまりにも大きい現象過ぎた。またネルフの人間達が死守した情報も多 かった。そのせいでシンジとアスカは性行為自体を除けば自由行動に近い事を許された。世論など政府などいいかげんなものである。

「アスカからこの前手紙が来ました。キスは性行為に含まれないとアメリカ政府が認めたそうです。さすが自由と正義の国だと、ついでに狸や狐のキスをする権利も政府で認めたらと書いてありました。使徒もどきとキスしてみようという物好きが多くて困るとも書いてありました」

 アスカは米国籍な為米国が引き取った。チルドレンは憎悪の的でもあるが憧れもある。また戦略的な価値がある。アスカの処分が緩いのは3/4が白人だから かもしれない。チルドレンが亜人類なのは日本人の血のせいだという噂は世界を席巻した。人種の平等などという思想は所詮その程度の物かもしれない。

「今はミサトと仲良く暮していると書いてありました。もう憎みあってもしかたがないと。所詮二人とも滅びの道しかないと」

 ミサトもチルドレン達と同じ様な処置を受けアスカと暮している。

「女同士も結構いいと書いてありました。その辺の不細工な男どもに抱かれるならミサトの方がましだと……私と博士と同じですね」

 リツコも似た様な状態だ。

「最近姉さんの夢を見ます……レイの夢……」

 シンジは俯せになる。

「決まって姉さんと碇君が料理をしているところです。私ではありません。私なら膚がまだらですから」

 部屋の外がうるさい。シンジの家も基地の中にあった。

「碇君お願いです。もう私の事を綾波と呼ぶのは止してください。私はレイ姉さんの予備の予備です。機能欠損が多くてメインの培養槽に入れられず破壊を免れた個体です。姉さんの記憶は自動バックアップで移されています。でも私はこの4年で自ら学んだ記憶だけが私です」

セントラルドグマの奥底にレイの培養槽の予備タンクがあった。動力もかろうじて動いていた。サードインパクト後ネルフに対する調査隊がそこで見つけたものがあった。皮膚はまだらで左目と右手親指の欠損はあるがそれ以外はほぼ綾波レイに酷似していた。

「レイ……」

 思わずリツコは呟いた。彼女は案内役と調査隊員の欲求不満解消の対象として同行していた。顔の青痣はその為だろう。動力の止まったジオフロントは調査し 終わるのに何日も掛かる。リツコはその間調査隊の隊員達に殴られ蹴られ犯され続けた。他の複数の調査隊ではミサトやマヤが同じ目にあっている。他の技術部 や作戦部の女性の上級職員も同じ様な目にあっている。ネルフの高級幹部は人間では無い。チルドレン達みたいな貴重動物でもない。マコトやシゲル達は2メー トル四方もない独房に一切の情報から遮断され閉じ込められている。

 リツコの言葉を聞き皆は動きが止まる。サードインパクトの間の事は人々は覚えていなかった。当然だろう。シンジでさえ前後の事ははっきりと覚えていないぐらいだからだ。だが大きな力ある存在、神、などの微かな記憶はあった。それと目の前の存在が重なった。

 リツコは駆け寄り培養槽からそれを引き上げた。連日の暴行と強姦を受けているとは思えぬ力だった。隊員達は理解した。この女はこの異形の者の巫女であると。リツコの腕の中でそれはLCLを吐き出すと初めて外気を呼吸し始めた。

 憎しみ、願い、想い、哀しみ、親しみ、愛、その他の感情が一気に押し寄せて来た。リツコはその者を抱き締めた。

 紆余曲折があったがその者は他のチルドレンと同じ扱いになった。世話役にリツコが同伴し、北海道の元軍属の老夫婦が二人だけで開いている農場に幽閉処置 となった。周りを軍隊が囲んでいる。リツコは幼い時に死に別れた妹の名を彼女に付け育て始めた。始めは赤ん坊と同じだったが急速に言葉と知識を吸収し今に 至っている。他のネルフ高級幹部はミサトがアスカの世話役、マヤがトウジ達の世話役、シゲルがシンジの世話役となった。残りの者は軍の刑務所に拘禁され続 けている。

「でも……」

 シンジは呟く。手紙をまた読み出す。

「私の事を姉さんと同じ名で呼んで碇さんは何を求めるのですか……でも綾波……」

 また呟く。

「私は私です。と思います……この話は終わりです」

 シンジは黙った。少しの間手紙を見つめていた。

「最近少し楽しみな事があります。博士が教えてくれました。雪が降るかもしれないと……雪か」

 国外どころか半径20km以上は動けないシンジは雪を見た事がない。

「もし私を綾波と呼ばないのなら一緒に雪を見たいです。では体に気を付けてください」

 いつもの様に彼女の手紙は唐突に終わった。

「あれ?追記だ。リツコです。妹はもう長くありません……」

 あまり驚かなかった。リツコからの手紙で状態は知っていた。不完全なクローン体の身体は限界が近い事を。

「後2ヶ月ぐらいでしょう。雪は1ヶ月ぐらいで降ります。一緒に雪を見させてあげたい」

 それで手紙は終わっていた。シンジはずっとそのままの格好で居た。

チャイムが鳴った。シンジはのろのろと起きると手紙を持ったまま玄関に向かう。鍵を勝手に開け係員が立っていた。

「決定を伝えます。その手紙の内容を検討した結果、選択権を与える事になりました。ここに止まるか0番の元に行くか。但し行ったきりになり幽閉処置となります」

「行きます」

「明日の朝9時にここで」

「わかりました」

 軍用VTOLは直接農場に降りた。そこには警備兵しか居なかった。

「あそこに見える建物が母屋です。あなた達が動いていい範囲は周囲を取り囲んでいる警備兵の内側20mまでです。警告は一度だけ。その後射殺します」

「判りました」

 シンジは母屋に歩いていく。比較的新しい鉄筋コンクリートの平屋だ。雪が降らなくなったので屋根の傾斜は緩い。直線距離で2kmほどをゆっくり40分ほどかけて歩いていく。母屋に着くとドアをノックして声をかける。

「シンジです」

 ドアが開かれた。

「久しぶりね。シンジ君」

「何でマヤさんが」

 白髪が少し見られたがそれでもやはり童顔のマヤがそこにいた。

「入って。私だけじゃないわよ。トウジ君達もどうせ幽閉されるならって」

 中に入ると老夫婦が居た。穏やかな顔付きだった。リツコ達を受け入れただけのことはあるのだろう。優しい目で見てくれた。ここから出る事は出来ないがこの農場は君達の物だ。自由にしていいと言った。

 マヤと老夫婦に案内されて居間に着いた。

「みんな」

「遅かったやないか」

「ひさしぶりね」

「シンジはやっぱりとろいわね」

「シンちゃん久しぶり」

「シンジ君元気そうだね」

アスカ、トウジ、ヒカリ、ミサトが居た。

「なんで日向さんまで?」

「志願したんだ。男手はシンジ君とトウジ君だけだ。シンジ君は肉体労働向きじゃないし、トウジ君は義足だし」

「でも。出られないですよ」

「そうだが、この状態ならミサトさん、リツコさん、マヤちゃんのネルフの誇る美女三人を独り占めだろ」

微笑んだ。あきらめにほんの少しの喜びを混ぜた微笑みがあった。

「そうですか……アスカいいの?アスカは結構自由が有るって」

「保護動物のね。私達は人間以外にもこれだけの権利を与えています。自由と正義の国万歳ってね。笑わせてくれるわ。ならはっきりと檻の中の方がましよ」

「変わらないね、アスカ」

「ほら三日月は百までって」

「三つ子の魂百までだよ」

「そっそうとも言うわね」

「ぜんぜん変わって無いね」

「どうせ。ふんっだ」

 アスカは頬を膨らませる。シンジは微笑んだ。

「ミサトさんお久しぶりです」

「やーねーそんなかしこまっちゃて。私とシンちゃんの仲でしょ」

「ミサトさんも変わりませんね」

「ちょっちーしわは増えたけどね。プロポーションと黒髪は変わり無しよ」

 ウインクをした。

「少しほっとしました……あの……」

「二人なら奥の部屋にいるわ」

 アスカが言う。

「会う前に聞いておくわ。なんて呼ぶつもり?私は望み通りミツコって呼んでいるわ」

「……」

「やっぱり決めてないわね……まあいいわ。こっちよ」

 アスカがシンジを案内して奥の部屋に連れていく。

「リツコ、シンジを連れてきたわ」

「どうぞ」

 戸の前でアスカが言うと中からリツコの声がした。

「入ったら」

 ためらうシンジにアスカが言う。

「その為に来たんでしょ」

 シンジは戸を開けた。中は薄暗かった。入った。

「碇君なの。ごめんなさい。明るいと疲れてしまって」

 シンジは声の方を向く。記憶通りの声だった。薄暗いのはカーテンを引いているせいらしい。部屋のまん中にはベッドが置いてあった。

「博士カーテン開けてください」

 ベッドの横に座っていたリツコが立ち上がる。窓の側に行くとカーテンを開いた。部屋は明るくなる。ベッドには少女が横たわっていた。眩しいのか右手で顔 を隠している。右手には親指が無かった。淡い水色のパジャマから出ている皮膚はまだらだ。右手を退けるとシンジにとって見慣れた顔が現われた。ただ左目は 洞窟の様に何も無く顔もまだらだが。

「碇君……本当に来てくれたのね」

 右目も少し白く濁っていた。

「よく見えないの……近寄ってくれない」

 シンジは無言のまま近づく。少女の顔に顔を近づける。30cm程の距離まで近づけた時少女が言った。

「姉さんの……レイ姉さんの記憶通りの碇君だ」

 少女は手を伸ばす。頬に触れる。

「姉さんの叩いたほっぺただ」

 しばらく触れていた。シンジは黙っていた。

「碇君……もういい。嬉しい。姉さんの記憶が喜んでいる。綾波って呼んでいい。だから声を聞かせて」

「あ……綾波」

「碇君の声だ」

「うん……ごめん……何て言っていいか判らない」

「……いつも謝ってばかりだったって……記憶が言っている」

 リツコが出て行った部屋ではシンジがベッドの横の椅子に座った。

「私後二ヶ月ぐらいなんだって。驚かないよね」

「うん」

 声は同じだが口調はレイとは違った。培養槽から出た後はほとんど成長しなかったらしい。姿形はシンジの記憶にあるレイそのものだ。

「今考えている事を当てようか……綾波と違うなって」

「……」

「隠さなくてもいいよ。がっかりした?」

「かもしれない。でも会えて嬉しい」

「良かった……私の中でレイ姉さんが暴れてる。レイ姉さんの記憶が私に私になれって。嫌だったけど、今は少し心地いい。碇君に会ったからかも」

「そう」

 少女はずっと目を瞑っていた。

「姉さんに成ってあげてもいい。雪を二人で見たらその後は姉さんに成ってあげてもいいよ。私でなく成っても」

「でも」

「無理しなくてもいい」

「そう」

 皆のここでの生活は穏やかな物だった。主に農作業と読書をして過ごした。ネットワークは来ていないがTVやラジオは使えた。本も手に入れる事ができた。ただこちらから外部に何も出す事が出来ないだけだ。以前は来ていた動物愛護団体も出入りを禁止されたらしい。

 晴れた昼間は老夫婦に手ほどきを受けて農作業をする。物を作ることは楽しい。義足のトウジもヒカリと共に参加している。雨の日は繕い物や機械の修理をした。夜は思い思いの事をして過ごした。と言っても読書やTVを見ること、SEXぐらいだった。

 シンジは別行動を取っていた。余命幾ばくもない少女とずっと共にいた。彼女の世話は全てシンジがした。少女はレイの記憶に無い事を好んだ。枕元で本を読 んでやるととても喜んだ。一度だけSEXもしてみた。ただ少女の体に負担がかかったので一度きりだった。その日より夜は一つのベッドで並んで寝た。時々ア スカも一緒に寝た。

20日後の夜だった。

「今日は冷えるね」

「うん」

 二人だけでラジオを聞いていた。穏やかな曲が流れていた。

 少女はもうほとんど身動きがとれなかった。予想より衰弱が激しかった。生活の全てをシンジが面倒を見ていた。

「入るわよ」

 静かな空間を破ったのはアスカだった。

「雪……降っているわ」

「アスカ……ほんと」

 部屋の闇に吸い込まれてしまいそうな、そんな小さな声だった。

「ええ」

 アスカはカーテンを開く。

「本当だ」

 シンジが呟く。窓ガラスの向こうで雪がちらついていた。

「見えない」

 少女の視力はほとんど残って居なかった。

「待っていて」

 シンジは部屋のわずかな灯りも消す。少女をベッドから抱き上げる。あまり腕力があるわけではないシンジにも少女の淡い水色のパジャマに包まれた体は軽かった。アスカが毛布をかける。窓際に連れていく。

「あ……これが雪」

 部屋の灯りを消したせいか月明かりにきらめく雪の結晶が少女にも見えた。三人は窓ガラス越しに20年ぶりに降った雪を見ていた。

「えっ」

 やがて少女は呟いた。

「……これが涙……泣いているのは私なの……姉さんなの」

 少女の呟きにシンジとアスカは少女の顔を見る。少女の濁った瞳から一筋の涙がこぼれていた。

「碇君……私はだれ?」

 少女は呟いた。シンジはしばらく少女の顔を見ていた。

「君は君だと思う」

「そう」

 少女は微かに笑ったようだった。

「碇君……アスカ……お休みなさい」

 別れは突然だった。シンジはずっと少女を抱いて雪を見ていた。アスカもずっと雪を見ていた。

「結局皆30前に死んでしまいました。みな衰弱死でした。EVAは人が操れるものではなかったのでしょう。リツコさん、ミサトさん、マヤさん、マコトさ んは、最後の生き残りであるトウジが死にチルドレンがこの世から居なくなったのを見届けてからリツコさんの作った毒を飲みました。皆苦しまなかったみたい です。私はトウジの遺言通り外に出たいと申し出ました。念のため検査を受けた後それを許可されました。今の夫に後の事は頼むとトウジが伝えていました」

 キーボードを叩く手が止まる。しばらく端末のディスプレイを見ていた。また叩き始めた。

「今では彼らは人間だったとされています。でも彼らが何者であったかなどどうでもいいことです。彼らは私の友人であり、恋人であり、仲間でした。私は神 に祈ることはしません。神の使いと戦った友を持つ者にふさわしくないからです。しかしもし今祈る相手があるとしたら、ただ一つだけ祈りたいと思います。彼 らの魂に安らぎあれ……と。2051年3月1日 相田ヒカリ」

 そしてヒカリはファイルをセーブし端末を閉じた。窓の外には季節はずれの雪がちらついていた。

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