後1時間ほどで明日になろうと言う時間に、シンジはコンビニへと歩いていた。
なぜか、と言うと
「ツマミがないな」
との、ゲンドウの一言でお使いに出されたのであった、
「ふぅ、まったくなんで僕が・・・」
ため息をつきながらも、シンジは仕方なく歩いていた。
ちなみに、ユイにその他もろもろの品を頼まれたのは言うまでもない。


☆★ ガラスの靴 ★☆

「ふぅ、綾波が転校か・・」
それは、1週間ほど前のことだった。突然の綾波の転校知らせ、母親の仕事の都合との事だ。
シンジはそれを聞いた時、はっきりと自分気持ちを認識した。
綾波に転校してほしくないと、そして綾波が好きだと。
「でも、どうにもならないしな・・」
この一週間、この事ばかりを考えていた、シンジ。
転校の話題が出てからはアスカは上機嫌だったが理由には気づかない、相変わらずのシンジだった。
そうこうしてるうちに、コンビニへいつのまにか着いていた。


「あれ?シンジくん・・」
コンビニへ入ると同時に声をかけられた、そう今まで考えていた人物に。
「あ、綾波」
「どうしたの?こんな時間に」
「父さんにお使い頼まれて・・。綾波こそどうして?」
「ちょっとね、お母さんと食事してたの。で、こんな時間に」
「へ〜、でも、お母さんは?」
「まだ、仕事だって」
「大変そうだね」
2人は何気なく話しつつ買い物を済ませ、コンビニを出た。
「あ、綾波、送っていくよ。」
「ん、じゃぁ、お願いしようかな」

2人は黙ったまま歩き始めたが、先に沈黙を破ったのはシンジだった。
「いつ、転校するの・・」
「予定では、来週末・・・」
「そう、なんだ・・・転校しても、元気で・・・」
「・・・・・・・」
月明かりの下、綾波の顔を見るシンジ。その瞬間レイと視線が重なる。
またも、沈黙が2人を襲う。
「私が・・・」
「綾波?」
「私が、転校してもいいの・・・・?」
「えっ」
「あ、私がいなくなっても・・(ポッ)」
そう言うレイの顔は真っ赤になっていた。
シンジの方も真っ赤になり頭の中は真っ白になっていた。
鈍いシンジでもわかる告白だった。
「・・・転校して欲しくない・・本当は」
レイを見つめたままやっとの思いで絞り出した言葉。
「綾波に側にいて欲しい・・」
「ありがとう、シンジ君」
赤くなりながらもにっこりと微笑むレイ、それを合図のように歩き出す2人。
「お願い、1つ聞いてくれるかな?」
いたずらっぽい表情でシンジを見るレイ。
「ボ・ボクにできることなら」
「”レイ”って呼んで」
「そんなこ・・・え!えぇぇ!」
「だめ?」
見上げるような視線で攻めるレイ。
そんな視線に耐えられる筈がないシンジ、それに男だったらまず無理だ。
「わ、わかった、じゃ、じゃぁ行くよ・・・・・・レイ」
またも、真っ赤になりながら呼びかけるシンジ。
「ありがとう、シンちゃん」
嬉しそうに笑顔を向けるレイ。
「シンちゃん?」
「えへへ、いいでしょそう呼んでも」
「う、うん」
そうこうしているうちにレイのマンションが見えて来た。
「ここで、いいわ」
「えっでも・・・」
『ピピピピピピピ』
その時、シンジの腕時計は零時を知らせるアラームが鳴った。
「ごめんなさい、もう帰らなくては」
いきなりレイはスカートをつまんで軽く会釈した。
「・・・・・シンデレラかい?」
いきなりであった挨拶だが理解したシンジ。
「よくわかったわね」
レイは微笑みながらシンジを見た。
「まぁ、まぁね」
「もう帰らなくては」
レイはまたもセリフを続ける
「また、会えるかな」
「ええ、必ず」
そう言うとシンデレラのように走り去ったレイ。その後ろ姿を見送るシンジだった。

やわらかな陽射しが差し込む朝。
「・・・・シン・・・・」
《誰・・・寝かせてよ》
「・・・起きて、シンちゃん・・・」
《今日は日曜だよ・・ねかせて・・・?》
「起きてってば、シンちゃん」
「う〜ん、もぉ、アス・・・!!」
寝ぼけ眼で自分を起こす人物を見て眠気が吹っ飛んだシンジ。
「おはよ」
にっこりと微笑みかけるのはレイだった。
「あ、あや、あやなみ、な、何で!」
「レイでしょ、もぉ。今日から一緒に暮らす事になったから、よろしくねシンちゃん」 サラっと言いながらウィンク1つ。
「え、え〜!」
「お母さんがねユイ叔母様に相談してたの。で、ここでお世話になるって決まったの」
「そ、そんなこと一言も聞いてなかった」
「私も昨日聞いたのよ、一緒に暮らすのは嫌?」
「そ、そんな事ないよ。」
「良かった、これからも一緒だね。よろしくね、シンちゃん」
飛びつくように抱き付きキスをする。
「レ、レイ」
真っ赤になりながらも、嬉しそうに微笑むシンジ。
「好きだよ、シンちゃん」
赤い瞳をしたシンデレラは自からガラスの靴を履きに来たようだ

後日談・・・シンジと一緒に暮らす事になったレイ。
その事を知ったアスカの嫉妬の怒りが噴火したことは言うまでもない。


後書き
初のEVASSです(^^;お見苦しい点多々有りますがスミマセンです。
最近レイにハマってしまって(笑)
まだまだ、文章力無くて反省。 Written by まさみ HP:まさみの部屋

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Received Date: 98.10.10
Upload Date: 98.10.28
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