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ぱたぱたの(弐)

Written by XXXs


ぱたぱたぱた

「あ、綾波、おはよう」

「おはよう…碇くん。昨日は、ありがとう…」

「うん、どういたしまして」

「よう、シンジ」
「おはよーさん」

「あ、ケンスケ、トウジ、おはよう」

「おい、シンジ、ちょっと…」

「アレなんや?綾波の背中」

「いや、よく知らないけど、昨日の朝、起きたら生えてたんだって。
それで服を着れなかったから、学校休んだんだって。
だから、シャツと制服をちょっと加工してあげたんだ」

「え?じゃ、昨日、綾波んとこ行ったんか」

「うん。綾波、一人暮らしだし、病気だったら大変だと思って…」

「ちょい待ち、さっき、綾波、服を着れなかったって言ってなかったか?
という事は…シンジ、お前…」

「えっ!!いっいや確かに綾波は裸だったけど、あ、じゃなくって、ぼくは別に、何も…」

「つまり、裸は見たって事だな。でも、ほんとにそれだけだったのか?怪しいなぁ…」

「そやそや。据え膳喰わぬは男の恥っちゅ〜からな」

「何にもしてないってば!」

「ははは、冗談だよ、シンジにそんなこと出来るわけ無いもんな。
でも、やっぱ、エヴァのパイロットって変わり者ばかりなんだな。
シンジもそのうち生えてくるんじゃないのか?」

「そうかな?」

「ちょっと、アンタ達、そんな所でたむろってると通行の邪魔よ!!」

「あ、アスカ、ごめん」

「ふん!…あら?ファースト、何よそれ?」

ぱたぱた

「…羽…昨日、起きたら生えてたの…」

「へぇ、変わってんのね。
制服、穴開けてるんだ。巧いじゃない。自分でやったの?」

「昨日、碇くんが来て、やってくれたの」

「あのバカ、帰りが遅いと思ったら、そんなとこで道草喰ってたのね」

「碇くんはバカじゃない…」

「なに?文句有るってわけ?」

「アスカ、おはよ!綾波さんも!」

「あ、ヒカリ、おはよ」

「あら?綾波さん…それ…」

「…羽…昨日、起きたら生えてたの…」

ぱたぱたぱた

「そうなの。なんか、かわいいわね」

「そう?…碇くんは奇麗だって言ってくれた…」

「はっ!バカシンジのくせに言うこと!」

「あ、先生来たわよ」





「え〜、出席を取ります。綾波さん」

「はい」

「おや?何ですか、それは」

ぱたぱた

「…羽…。昨日、起きたら生えてました…」

「そうですか。でも、それでは後ろの人の迷惑になりますね。
ええと…一番後ろの…鈴原くん。君、綾波さんと席を代わりなさい」

「ええっ!!ワイがですかいな?とほほ…この席気に入っとったのに…」

ぱたぱた

「鈴原くん、ごめんなさい…」

「ま、ええわええわ。気にせんといてな」

「では、出席の続きを…」





その後、同じ事を何回も聞かれて、何度も説明するのも面倒だから、紙にでも書いて胸に下げておこうかしら…って碇くんに言ったら「やめといて…」と言われた。
名案だと思ったのに…。





放課後、碇くんと本部へ行った…。

「赤木博士…これ、見てもらえます?」

ぱたぱた

「あら、レイ、どうしたの?それ」

「昨日の朝、起きたら生えてました…」

「あっら〜、かわいいわね、レイったら、妖精みたいじゃない?
ん〜、でも、それじゃプラグスーツが着れないわね。
その制服はシンちゃんがやってくれたの?
プラグスーツも同じように改造しないとね」

「何言ってるのよミサト。
問題はそんな事じゃないでしょ?」

「へ?そう?」

「え?リツコさん、何か他に問題が有るんですか?」

「??」

「まったく、あんた達は何考えてんだか…。
いい?問題はプラグスーツじゃないの、最悪、プラグスーツは無くったって構わないけど、
背中に羽が生えてたんじゃ、エントリープラグのシートに座れないじゃない」

「あ、そうか」

「まいったわね。インテリアシートを設計し直さないといけないわ。
初号機は修理中だってのに、こんな時に使徒でも攻めてきたら…」

「あっあのっ、先輩、そういう問題なんでしょうか?
羽が生えてくるなんて事の方が…」

「あら、生きているんですもの、羽くらい生えてくるわよ」

「え?そ…そういうものなんですか?」

「勉強不足ね、マヤ」

「すっすみません!」
(ふぇ〜ん、先輩に怒られちゃったよぉ…)

「でもね、あなただって『目が覚めたら毒虫になってた』なんてのより、
羽が生えてた方がいいでしょ?」

「はっはい、それはもちろん」

「ならいいのよ」
ニッコリ

「先輩…」


「碇…羽だな…」

「ああ…羽だ…」

「どうする?これはゼーレのシナリオには無いぞ」

「問題ない、シナリオを修正すれば済む範囲だ」

「そりゃそうだな…」


「じゃ、レイ、寸法を測るから、こっちへ…」

ブーッ!ブーッ!ブーッ!

「相模湾上空に未確認飛行物体!!
パターン青、使徒です!!」

「あちゃ〜!よりによってこんな時に…」

「ぼくが出ます!」

「でも初号機はまだ動けないわ。
アスカを至急呼び出して!」

「待て」

「?碇司令…」

「レイを出撃させろ」

「で、でも、レイは今、エヴァには乗れません」

「構わん。レイ単独で出撃だ」

「単独で…って、生身でですか?!」

「父さん!何無茶な事言ってるんだよ!!」

「待って、碇くん…。
碇司令。私が、出ればいいんですね」

「そうだ、レイ、お前が出るのだ」

「解りました。出撃します」

「綾波、ダメだよ、そんな…」

「心配しないで。碇くんは…私が護るから…。また…後で…」

ぱたぱたぱた

「綾波!」

「シンちゃん、ここはレイを信じましょ。
碇司令だって何か考えが有るはずよ。
それに、レイ、今『また、後で…』って言ったでしょ?
ちゃんと帰ってくるわよ」

「ミサトさん…」

「でも、レイってば『碇くんは…』って言ってたけど…。
私たちはどうなるのかしらね?」

「ちょっと、リツコ、嫌な事言わないでよ…」

「先輩、ルート42を使用しますか?」

「ちょっと!生身の人間をリニアカタパルトで打ち出すわけ?」

「問題ないわ。こんな事もあろうかと、人間用のカタパルトを作っておいたから」

「げげ、マジぃ?!」


凄いGの後、私は宙に放り出された。

無重力状態…これは…自由落下ね。

ぱたぱたぱたぱた

だめ、この羽では羽ばたいても揚力を得ることはできない。

とりあえず、転落死は様にならないから、嫌。

ATフィールドを使ってみよう。

ふわっ…

うまくいった。重力も遮断できるのね。

いつのまにか目の前に使徒が迫っている。

使徒のATフィールド…かなり強力だけど…何とかなりそう…。

ぱたぱたぱた

この羽、使徒のATフィールドを簡単に切り裂く…いえ…消失させる事が出来るのね。


「レイ、強力な指向性アンチATフィールドを発生!!
使徒のATフィールドを浸食しています!」

「すごい…これが…レイの…力…」

「使徒、これ以上は、個体生命の形が維持できません!」


さ、お還りなさい、無へと…、あなたの生まれた処へと…。

ぱたぱたぱた

デロリン
ザバーッ…


「…使徒、殲滅。完全に LCL に還元されました」

「作戦、終了…」
(これが作戦と言えるの?)





ぱたぱたぱた

「ただいま…碇くん」

「うん、お帰り、綾波。
すごかったね、その羽、あんな力が有ったんだ…」

「うん…そうなの…『リリスの翼』…。
私も知らなかったけど…知ってたみたい…」

「??…ま、お疲れさま。帰ろっか?」

「うん…」

この羽も、役に立つのね…。

碇くんを護れて…よかった…。

「あ、碇くん、待って…」

ぱたぱたぱた


To Be Continued...

あとがき
なんて緊迫感の無い対使徒戦(^_^;)。

元はと言えば、A.S.A.I.さんとのメールで『ぱたぱたレイちゃんが迎えに来たりして』 って話になって、それがキッカケ(^_^;)。

ぜひ、あなたの感想をこちらまで>[ xxxs@kiwi.ifnet.or.jp ]

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