新世紀エヴァンゲリオンmessage
あやなみんC
2.逃げた、先に
「えへへ…」
「ふんっ」
バスケでダンクシュートを見せつけ合う、栗毛の髪の少女と蒼髪の少女。無論、アスカとレイだ。
「今日もやりよるのう」
「よく、飽きないものだよなぁ。ま、俺としては写真とれるからいいけどー」
レイが転校してきて、もう10日にもなる。トウジとケンスケが見る先、そこには…
「ねっ、シンジくん、私の方が、上手でしょ?」
「何を言うのよ、アタシに決まってるわ!」
これが、10日も続いているのだ。当のシンジはというと…
「あー、うん。そうだね。とりあ、向こういっててよ。…邪魔」
…キレかかっていた。
「碇シンジ」
「はーい」
国語、93。数学、96。理科、98。社会、92。英語、97。
合計、476。順位、150人中、3位。
「天才、碇ユイ」の息子、ただ者ではない。
そして、その上をいくのは、
「洞木ヒカリ」
「あ、はい」
委員長。
「惣流アスカラングレー」
「はいはーい」
2-A、恐るべし。トップ3が揃うクラスであった。
そのころ、後ろの席では。
(まじかいな、全教科で216点や…)
(やばい、カメラ取り上げかな…)
(うはー、8位か…)
若干一名、沈む必要がないものもいたが。
そして再び。
「シンジくん、さっきはごめんね、勉強してたのに」
「ふん、シンジの勉強なんて知らないわよ。ま、それに懲りたならシンジをモノにしようなんて、もう企まないことね」
「アスカさんには関係ないじゃん。あ、シンジくんのこと、すきなの?」
「なっ、違うわよ!!」
わいわい、きゃあきゃあ。
(勘弁してよ)
ため息ひとつ、その場を去るシンジ。
天才たちの息子、碇シンジ。その名を名乗るにふさわしい、成績優秀、文武両道、性格抜群の活気な少年だった。
ポツポツと、家に向かって歩く。
と、
「シンジくん!」
「…綾波」
少々うっとおしそうに、振り向く。
「アスカさんは、まだ学校。その…謝りたくって。最近、迷惑かけてたから」
「あ、うん。気にしないで。アスカはいつものことだし、綾波も今度から気を付けてよ」
ほっ、と息をつくレイ。そして、ふと顔をあげた。
「あのね、シンジくん。…レイって、呼んでほしいの」
これにはシンジも驚いた。レイとはアスカ以外誰にも呼ばせていなかったレイ。では、なぜ?
「い、いいけど…」
「よかったぁ!じゃ、シンジくん、また明日」
「じゃ、じゃあね、…レイ」
家に帰って飯をたかりに来たアスカがそれを聞いて怒ったのは言うまでもない。
次の日の帰り道。上手に逃げ切り、一人で歩くシンジがいた。
「…ったく、レイもアスカも困ったものだよ」
自分がモテているなど、つゆほどにも思わない、シンジ。アスカはうるさい幼馴染み、レイは綺麗で元気な転校生、自分はひょんなことから接点が多いだけ。こういうときの、「天才の息子」の頭の中はどうなっているのだろうか。
February 10, 2014公開
次回
ついに、家にもいられないシンジ
当てもなく、繁華街をさまよう
そこで彼が見つけたものとは?
新世紀エヴァンゲリオンmessage
「新世紀」
さぁて、お次も、サービス、サービス!