新世紀エヴァンゲリオン++
第壱話:プラチナブルーのきらめき
学校帰り
シンジたちはレイの服を買いに駅前の商店街に寄っていた。
アスカとヒカリは先頭に立って歩いている。
「ね、ヒカリ、どこがいいかな?この辺、ブティックは結構あるけど」
「ねぇ、アスカ、綾波さんの服なら、本人の意見を聞かないと…」
「アタシもそう思ってどんなのが好みなのか聞いてみたんだけど、よく判らないって…。
アタシもよく知らないんだけど、レイって今までちょっと特殊な生活してたみたいなのよね…。
だいたい、制服以外は持ってないなんて、信じらんないわよ」
「そ…そうなの?なにか複雑な事情が有るのね。
解ったわ、私達で似合う服を選んであげましょ?」
そんな風に相談しながら歩いている二人の後ろを、トウジとケンスケが昨日のTV番組の話をしながら、最後をシンジとレイが口数少なく歩いていた。
シンジはペットショップの店先でレイが立ち止まったのに気がつくと振り返った。
「綾波、何見てるの?」
レイが見ていたのは、そのプラチナブルーの髪と同じ色をした小さな魚が群れている水槽だった。
その魚は光の具合によって、淡いブルーを基調に僅かにパープル系からグリーン系へ、そしてメタリックな反射光へとキラキラと色を変える、美しいスズメダイの仲間(*)だった。
「私に…似てるの…」
シンジはその答えに、あの時見た水槽に漂う無数のレイの姿をしたモノを思い出したが、一瞬それを振り払うように目を閉じると、レイの肩越しに水槽をのぞき込む。
「うん…奇麗だね」
「え…?」
レイはシンジの答えについ聞き返した。
「奇麗な魚だね。綾波の髪の色と同じだ」
レイは水槽をのぞき込むシンジの横顔を見つめていた。
「でも、今の綾波はもっと奇麗だ。
綾波は、今、自分の意志でここに生きてるだろ。
誰に生かされてる訳でもない。
だから、さ」
そう言うとシンジはレイの方を向き、その紅い瞳を見つめて、微笑んだ。
レイは一瞬目を逸らしたが、おずおずとシンジと視線を合わせると、はにかんだような笑顔で答えた。
「ありがと…」
「うん…。あ、ははは、なんか、らしくないこと言っちゃったね」
急に恥ずかしくなったらしく、顔を真っ赤にしているシンジ。
「そんなことない。私、嬉しいもの」
「綾波…」
その時、前を歩いていたアスカが振り向いて声を掛ける。
「ちょっと、シンジ!レイ!何やってんのよ!先行くわよ!!」
「あ、アスカ!今行くよ!」
そして、レイに声を掛ける。
「さ、行こう!」
シンジは手を差し出す。
「うん!」
レイはシンジの手を取り、一緒に走り出した。前を行く友人達に追い付こうと…。
陽光に輝くプラチナブルーの煌めきを零しながら…。
To Be Continued...
あとがき
アヤナミストなアクアリストとして『自然に生きる姿が一番美しいよね…』という自戒の意を込め…。
(*)Chromis viridis:デバスズメ
ポピュラーな魚なので、海水魚を扱っているショップでは大抵見られるはずです。
綾波の髪って人によって解釈がそれぞれで、淡い水色だったり鮮やかなブルーだったりするようですが、私の綾波の髪の色はこの魚の色のイメージです。
エルバージュ溶液を満たしたトリートメントタンク(病気治療用水槽)だったりすると、黄色の薬液だからまじでシャレにならんけど、絵としての見栄えを優先しました。
絵の元イメージは、コミックス1巻の巻頭のアレなんですが、これがまた難しい(;_;)。
ペイントツールは Painter 5.03J をメインに、キラキラは都築和彦さんの Light EDitor を使用。
何回か置きにこういった挿絵付きの話になる予定です。
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