太陽の孤独/制作記

『太陽の孤独』の制作方法を簡単にご紹介します。
って制作途中の画像をお見せするだけなんですが…(^^;。あまり役に立たないPainterのTIPSもちょこっとだけ。
制作には
Painter5.0Jを使用。

Upload :98.06.01




 「これはなんじゃい?」と聞かれると非常に困るんですが(^^;要するにこの絵は、このようなブルーのバックで描かれ始めたんですね。イメージコンセプトが「ブルーでアンニュイなアスカ様」だったもんで…。それがしばらく描き進んだところで、やっぱり「アスカにブルーな背景は似合わない!」と 「色調整」 コマンドで全体がセピアカラーに調整されたわけです。
  ここでまぬけなミスが! 何かというと「色調整」をした後、
ペーパーカラーの設定 のし直しを忘れてて、消しゴムを使うと下から青い色が!? …Painter使いの皆さん気をつけましょう(^^;。


ここまでで「第1段階半」です。
光源の位置を決め、それを踏まえつつ「こんな感じかな〜?」と全体の陰影の配分を考えます。で、第1段階。
そこから髪の毛の描写も始めているので第1段階半です(^^;。
「水彩」 ツールを使って描写を進めます。背景がブルーだった名残が、右前髪(向かって左側)あたりに残っています。背景の色が変われば、当然ながらグレー系の色も少々色調を変えて使います。

 

 


 髪の毛の描写を進めます。
……髪の毛を描くのは楽しいです(^^)。特別な方法は何もなし。光りのあたっている所いない所を把握しつつ、ただ単純にストロークを重ねていきます。この描き込みの重なりが量感を表現します。暗い色は水彩で乗せ、
「乾燥」 を実行しつつ明るい色をチョークで引いていきます。つい、嬉しがって描きすぎるので 「水滴」 ツールを使ったぼかしと描き込みを交互に繰り返してしまいました(^^;。
 眼はまだ描きません。この時点で顎のラインを少し修正。


 で、眼を描くためのアタリを入れます。左右の眼の大きさが違っているのは 「ワザと」 です(^^)。え、あんまし違ってない? まじめな話、左右対称な人間は存在しません。試しに鏡面コピーを使って完全左右対称な人物画を描いてみてください、不気味ですよ〜。まあどっちにしろ、全くおんなじ大きさと形の眼をふたつ描くなんて芸当は僕には出来ませんが…。
 顎のラインを修正したため丸顔に見えてきた……悩むが、そのまま進めることにしました。

 「右上の画像とどこが違う?」
えーとですね、前髪が細かく描き込まれています。小さい画像で見てもほとんどわかんないですね(^^;。

アニメ風の前髪 (なぜか眉毛が透けて見える!?)と比較的リアルな表現を両立しようとして苦労しております…。「ほっそい眉毛」も嫌いなもんで結構眉毛太めに描かれてたりします(^^;。


一番明るい部分を描きます。髪の毛も
「金髪らしさ」 を出すためにハイライトの描き入れやコントラストの調整をします。
西欧人の髪は、色の所為もあるでしょうが、長い髪でもあまり「重たい感じ」にはなりません。そういう意味では、このアスカの髪は、ちょっと日本人的に過ぎたかも知れません。「緑の黒髪」とまでは言いませんが、なんか重そうですよね。

 

 

 気合を入れていよいよ眼の描き込み。
 フィギュアの製作なんかでも、とかく眼、特に瞳の塗装には
「一筆入魂」 (^^;とか言いますが、いやその通りって感じです。光がどこから入ってくるかを念頭に置きつつ水彩で描写。最後にチョークでハイライトを入れます。同時に全体のコントラストのバランスを見ていきます。おかしな所があれば修正。
 顔が下描きの段階よりも丸い感じになりました。個人的には細いあごも好きなのですが、人間の顔の形ということを考えると………。こういう顔の描写になるにあたっては自分の中で色々葛藤があったのですが………省略。
 ヘッドインターフェイスをササッと描き込み。こういう水彩を塗っちゃった上から細かい描き込みが出来るあたりが
「ああコンピューターって便利」 と思う瞬間だったりします(^^)。

 今回は、自分的な課題として 「色彩に頼らない表現」 と言うのがありました。仕上げるのにずいぶん苦労してしまったので、普段いかに色彩に頼った絵を描いているかを実感してしまいました(^^;。出来としてはどんなもんでしょうね……。


TIPS FOR PAINTER
あまり役に立たないかもしれないし、きわめて常識的なことですが…ほんのTIPS
ブラシトラッキング
 Painterを初めて使った人がまず戸惑うのが、タブレットの使いにくさではないでしょうか。Painterでは、かなりリアルに各画材のシミュレートをしているため、思ったとおりの線が引けないと悲惨なことになります(あ、どんな時でもそら同じか(^^;)。
 そこでカギとなるのが「ブラシトラッキング」メニューです。
 編集-->環境設定から右のダイアローグを呼び出してください。ここで線を引くと、それに見合った数値が自動で設定されます。
 これをツールを持ち変えるたび、画面の拡大率を変えるたびに行います。僕は水彩とチョークを頻繁に持ち替えるので、しょっちゅうこのダイアローグを呼び出しています。
 なるだけ普段のタッチは軽くするように練習します。でないと、力を入れる所はそれこそゴリゴリとスタイラスのペン先を削るほど力むハメになります(^^;。
 面倒臭いなどと言うなかれ、手も汚さずに様々な画材を使うことが出来るのです、これくらいの手間を惜しんではいけません。とは言えプルダウンメニューをずるずる開くのは確かに面倒臭いので(^^; カスタマイズパレットに登録してしまいます。
<--が僕の普段使用しているカスタマイズパレットです。よく使う割になぜかキーボードショートカットの設定されていないコマンドが登録されています。こうやって「ブラシトラッキング」をマメに行うことで、Painterでタブレットを使うのはかなり快適になるはずです。もちろん、完璧な環境は存在しません
 
カラー登録の勧め
 カラーセットを有効活用していますか? と、偉そうなことを書いてしまいましたが、僕の使っている色は殆どがPainterに最初から付属してくる「パステル」カラーセットに手を入れたモノです。とは言え、どうせよく使う色というのは決まっています。どんどんパレットに登録していきましょう。それを完成した画像と共にあるいはパレットだけを集めて保存しておきます。自分だけの「綾波なパレット」「アスカなパレット」を造っておけば、今後の貴重な財産となるはずです
元になった『パステル』カラーセット
今回の『太陽の孤独』カラーセット
普段の『アスカ用』カラーセット
ちびレイ『何もみつめていない瞳』カラーセット
『君は何を信じるの…』カラーセット
如月画伯原画『少女のチカラ』カラーセット

閑話休題、と言うわけで一応の完成(↓)。最初の目論見とはずいぶん違う絵になってしまったような気が……(^^;。何となくビクトリア朝時代の肖像写真と言う趣ですな。

PRODUCTION NOTES INDEX

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