朝登校すると女の子達が私の方を見てこそこそ何か話している。
いったいどうしたのかしら。
気がつくと相田君が他の男の子になんか耳打ちされている。変な感じ。


「綾波おはよう」
「おはよう碇君」
いつものようにアスカと一緒に登校している碇君が私に挨拶をした。

周りの人たちが私たちを伺うようにしている。嫌な雰囲気。


あ、碇君に相田君と鈴原君が近寄ってきて、窓際に連れて行くわ。


「シンジ、昨日先帰ったろ」
「ごめん、ちょっと用事があって」
「センセ、ワシに昨日用事あったと違うか?」
「あ、悪い。済んじゃった」
「ほか。ならええんや。なんぞワシらに隠し事していることないんやな」
「そ、そんなのないよ」
「まあ、シンジがそういうならいいけどな」


なんか変な会話ね。まさか昨日のアレ見つかったんじゃないかしら。でも、周りにクラスメートとかいなかったわよね。
ん?アスカが洞木さんと何か話している。二人とも深刻そうね。あ、近づいてくるわ。


「ねえ、レイ。今度の土曜日私の誕生日でパーティするんだけど来ない?」
「え?アスカって12月4日生まれでしょ。金曜日じゃないの」
「良く知ってるわね。だから一日ずらして土曜日に騒ぐのよ」
「お邪魔じゃないの?」
どうせ、碇君と二人きりでパーティするんでしょ。

「アンタは転校したてで、知らないかもしれないけど、ヒカリや3バカも呼んでパーッとやるのよ。だからどう?」
っていうわりには、機嫌あまり良く無そう。でも碇君来るのか。





    決戦は、誕生日

                    written by つっくん






「ねえ、ケーキとかある?」
「まあアンタはそっちよね関心は」
アスカは洞木さんとほっとしたような顔で頷きあった。

「ヒカリも料理手伝ってくれるから、楽しみにしてもいいわよ。なにせ大飯ぐらいがやってくるんだから」
「アスカ、そういう言い方はないんじゃない」
「ヒカリ、誰とは言ってないんだけど。うん?誰の事かな」
「もう、アスカったら」
こりゃ話が脱線して行くわね。話切らなくっちゃ。


「分かった。そういうことなら喜んで参加させて貰うわ。お料理楽しみにしてるね」
とりあえず、興味は料理と言うことにしておいた方が無難ね。


「ああ、綾波さん」
洞木さんが話しかけてきた。

「一応アスカへプレゼント持ってきてね。そういう決まりなの」
「うん、わかった」
その展開は見えてたわね。う〜ん、今度は私から碇君誘おうかな。でもあまりにもわざとらしいか。



結局、プレゼントはレターセットにしちゃったのよね。最初写真立てにしようと思ったけど、アスカが誰の写真を入れるかと思ったらたまらなく嫌になっちゃって。

そんなら自分の気持ちはっきりすればいいんだけど、あの二人に割り込むには自信がないもの。それに転校したての私に最初に仲良くしてくれたのはアスカだし、あの子の気持ちわかっちゃうだけに余計辛いのよね。



でも、きっと私たちこのままではいられなくなる。そんな感じもするわ。




なんて、私には似合わない考え事をしていると、アスカのマンションの部屋の前まで来ちゃった。ええと確か碇君てアスカの隣の部屋だったわね。ホントだ。うらやましいなあ。



ピンポーン

呼び鈴を押すとすぐに扉が開いた。とてもきれいな顔立ちをした人。アスカに似ているけど、もう少し日本人ぽいなあ。
「いらっしゃい。あら、あなた綾波さんね」
え?なんで知ってるの?

「はい、でもどうして私のことご存じなんですか」
「一目見てわかっちゃった。このごろ娘があなたにシンジ君取られるんじゃないかと焼き餅焼いてるのよ」
え〜。アスカ何言ってんの。それに娘って。この人アスカのお母さん?凄く若いじゃない。

「ちょっと、ママ何バカ言ってンのよ。レイ困っちゃっているじゃない。レイあがって」
アスカの一言で硬直状態から抜け出した。

「お、お邪魔します」
う〜ん、調子狂うわねえ。あのお母さんは要注意だわ。


「もう、みんな来てるわよ。早く座って」
アスカも顔赤らめて、そっぽを向いている。


「遅いでぇ、綾波。飯食えへんやないか」
「鈴原、そういうさもしいこと言わないの」
「お、綾波私服もばっちり、シャッターチャンスいただき」
相田君てばパーティ来るときもデジカメ持ってくるの?あら、ビデオまで首からぶら下げている。う〜ん、個人的には近づきたくない人ね。

でも、私服を誉めてくれたのは、ナイスよ。今日は決めてきたんだから。白いノースリーブのワンピース。背中は大人っぽく大きく開けて、胸からスカートまで前に大きなボタンで止めるの。割とお嬢さんぽい雰囲気。寒くなるといけないからカーディガンを羽織ってきたけど、碇君の前ではもちろん、ばしっと体のライン見せるわよ。
もっともボリューム感ならアスカに完敗だけど。そこは清楚?な雰囲気で視線を釘付けね。


「やあ」
お、碇君たらこっち向いて顔赤くしてる。まずは満足と言うことにしておきますか。


「アンタここね」
碇君の態度見てアスカったらやっぱり不愉快そう。あら、私の席、相田君と鈴原君の間。アスカのお誕生日席はいいとして、右が碇君、左が洞木さん。洞木さんの隣が鈴原君で碇君の隣が相田君。なるほど、碇君から遠ざけようと言う魂胆ね。


「どう、両手に花のポジションにしてあげたんだけど」
ちょっと躊躇した私の態度を見てアスカが見下した感じで言ったの。そう来るなら私にも考えがあるわ。


「じゃ、ここにする。ここも両手に花よね」
ぱっと、碇君と相田君の間に割り込んで座ったの。


あ、アスカ凄い目で睨んでいる。でも知らんぷりしちゃおう。ふふ、ついでだから碇君に寄っちゃおう。
あ、また碇君照れて顔赤くしてる。可愛い。


「い、痛い。何するんだよアスカ」
情けない声。あれ、アスカったら碇君のお尻思い切りつねったわね。可哀想。

「アンタがデレデレっとするからよ」
それはないんじゃない。でも自然にこういうこと出来てうらやましいなあ。


「夫婦喧嘩はそれくらいにして飯にしよ。さあ飯や飯や」
「「誰が夫婦なんだ(の)よ」」
「わかったから、パーティ始めましょうよ。鈴原もいい加減にしなさい」
なんかお約束通りの展開ね。でも洞木さん笑ってる。この二人のユニゾンは面白くないわ。私の顔強ばってないかしら。



「え〜、それでは惣流・アスカ・ラングレー嬢の14歳の誕生日を祝って、私相田ケンスケが乾杯の発声をつとめさせていただきます。それでは皆様ご唱和願います。惣流さんお誕生日おめでとう。かんぱ〜い」
「「乾杯!」」

こういう時仕切るのは、相田君なのよね。逆にこういう時以外出番無いとも言えるんだけど。


「それでは、次にケーキに入刀となります。なお本日のケーキは惣流さんの友人である洞木さんがお作りになりました」
あの〜、それって、結婚式の間違いじゃないの?


「え〜、それではまずは14本の蝋燭を吹いて消して下さい。消えましたか。それでは、次に碇君、惣流さんと一緒にナイフを握って下さい」
何よそれ?あ、アスカのお母さんがビデオを持って待ってる。どういう家族なの?

「では始めます。人生最初の共同作業は・・・」
「「なに言ってんだ(の)よ」」
「相田ふざけるんじゃないわよ」
あ、アスカの踵落としがクリーンヒット。あの体勢からよくあんな事出来るわね。さすが壱中の誇る運動神経の持ち主ね。でもせっかくのおめかしした黄色いワンピースの中覗かれないかしら。まあね鈴原君は洞木さんに目隠しされてるし問題ないか。一方相田君はっと、あらあらやっぱり一発で落ちちゃったわね。


「アスカちゃん、せっかくママ楽しみにしてたのに。(T^T)クゥー」
「ママいい加減にして!」
見てて飽きないわね。




さて、しばらくは食事、食事。うわあ、サーモンのマリネに鳥の唐揚げ、かにサラダにジャーマンポテト、春巻とお刺身それに炊き込みご飯か。う〜涎が出る。なんたって一人暮らしじゃ満足なもの作らないもの。
うわあ、おいしい。アスカのお母さんて料理が上手ね。

「鈴原、その春巻と唐揚げはヒカリが作ったのよ。味わって食べなさいよ」
「分かってるがな。ホンマいいんちょの旦那になる奴は幸せもんや」
鈴原君って自分の言ってる意味分かってるのかしら。でも洞木さん真っ赤になって自己陶酔モードね。いいなお料理できて。
考えてみたらアスカもそこそこ料理できるのよね。あのお母さんに教わればいいんだし。
あ〜あ、私にも教えてくれる人がいれば負けないのに。


「え〜、宴もたけなわではございますが、ここで惣流さんにプレゼントを渡したいと思います」
あ、食事に夢中だったけどプレゼント渡すんだったわ。碇君もちゃんと二人で選んだイヤリング持ってきたかな。でも、よくあの状態から相田君復帰したわね。さすがはエヴァキャラ中もっとも不幸な男と呼ばれるだけあるわ。(笑)


「まずは委員長から」
「はい、アスカ。今度誰かが鉤裂きとかしたらこれでつくろってあげて」
え?あれは携帯用裁縫セット。なんかアスカには似合わないなあ。でも、あの誰かって、どうせ碇君でしょ。どうもこの二人息が合ってるのよね。

「誰かって、一人しかおらんやろが」
あらあら鈴原君、なにも自分から虎穴に入らなくてもいいのに。

「何?誰の事よ」
「惣流何言ってンのや。例えばや、相田がボタン落とした言うて、お前繕ってやるか」
「何で私が相田のボタンなんか・・・」
「そやろ。お前が心配するのは一人だけや・・・」
「す・ず・は・ら。それ以上余計なこと言うと・・・」
あうあう、洞木さんの目が怖いですぅ。
・・・て、違うキャラになっちゃったじゃない。

「いいんちょ。違うんや。軽い冗談やないか」
ほら鈴原君も怯えてる。



「ヒカリありがとう。大切に使わせて貰うわ。それから鈴原」
アスカ腰に手を当て、ビシッと鈴原君に指さすお得意のポーズね。

「これ以上余計なこと言うとその口を縫うわよ」
冷や汗タラーリね。アスカが言うと決して冗談には聞こえないもの。

「え〜、次はトウジお前だ」
あらあら相田君も引いてるわね。


「ワシか?ワシは惣流のためにビシッとしたもん決めたで。どや、このTシャツ。かっこええで」
どれどれ。え〜「大和撫子」って書いてある真っ白なTシャツじゃない。どこからこんなの見つけてくるの?

「鈴原。これのどこがかっこいいの」
あ〜あ。アスカの額に青筋立っちゃった。でも分かるわ。

「そやな。シンジの誕生日には「平常心」と書いたTシャツ贈ったんや。それぞれお前達の欠けている部分を補完してやろう思ってな・・・」
「貴様も死ねっ!」
うわあ、踵落とし連発、凄すぎる。鈴原君床までめり込んでる。さすがに洞木さんも青くなってるわ。




「えっと、次は俺だな」
相田君。完全に怯えてるわね。

「変な物だったら殺すわよ」
アスカぁ、目が完全にいっちゃってるわよ。


「い、いや。俺のはノーマルだよ。開けてみて」
「ふーん、写真立てね。相田にしてはセンスいいじゃない。あら何か入ってるわね」

「それは、いざというときのお守りさ。誰かが言うことを聞かないときはそれを見せれば一発で解決だぜ」
あらら、相田君不気味な笑いね。


「ふ〜ん、確かに。有り難くいただいておくわ」
何今の?手がわなわなと震えて、青筋がびきびきに立ってる。


「さて、次はレイね。何かしら楽しみだわ」
ア、アスカその目は完全にガンくれてるわ。どうしたの、尋常じゃない。相田君何渡したのかしら。もしかして・・・いやあそこに知り合いは誰もいなかったはず。ましてや相田君がいれば気づいたはず・・・

「どうしたの。忘れたの?」
「へ?いや、大した物じゃなくて悪いんだけど。これ」
「何?レターセット?確かに大した物じゃないわね」
「アスカ、綾波さんに失礼よ」
「へへへ、実際何がいいか思い浮かばなかったから。ゴメンね」
ギロッって音が出そうなほどこちらを睨んでるわね。そんなに気に入らなかったのかしら。


「さてと、最後はいよいよシンジだな」
「そや、センセは何贈るか楽しみやな。しょうもないもん贈って踵落としくらえや」
凄〜い。鈴原君もう復活してる。まるでゾンビね。原生動物もびっくりの生命力。


「え〜と、これ。アスカに似合うかなと」
碇君顔真っ赤。そんな顔見せないで。

「ふ〜ん、イヤリングね。アンタにしちゃセンスいいじゃない」
「あ、ありがとう」
「で、誰と選んでくれたの?去年は鈴原とだったけど」
「えと、あの、その、今年は僕が一人で選んだんだけど」
「ふ〜ん、最悪のセンスで、鈴原と五十歩百歩のアンタがねえ。急にセンスが良くなったわけ?」
何アスカ絡んでるのかしら。

「え〜、だから去年怒られたから、今年はがんばって選んだんだよ」
さすがにむっとしてるわね。

「あらそう?ずいぶん進歩したわねえ。さては彼女でも出来てお勉強したのかしら。それとも女の子にでも選んで貰ったとかね。そう思わない?レイ」
なんで私に振るのよ。

「さあ、私転校したてで良くわかんない」
ここはすっとぼけるに限るわ。


「じゃあシンジ聞くけど、いつこれを選んでくれたの」
「3日前だよ」
「場所はこの包み紙だと駅前の新しいSCね。で相田と一緒に行ったの?」
「さっきも言ったろ、一人だよ!」
あ、碇君切れかけたわね。


「なるほど、一人でイヤリングを買いに行ってくれたと。恥ずかしがり屋のアンタにしちゃ上出来ね」
「いやあ、アスカのためだから」
「なるほど、ウソはないわね」
「うん」



あ、アスカの目が確かに光った。
「ところで、複数の情報源によると、3日前にのほほんとしたバカ面男が趣味悪い赤目青毛女と腕組んでSCに買い物に行ったという話があるのよね」
「「へ?」」
・・・ばれてるの?でも赤目青毛女ってあんまりじゃない。


「さあ、これはどういうことかしら。おまけにそのカップルはアクセサリーショップでイヤリングとヘアバンドを買ったという情報が入ってるのよ」
「レイ、素直に吐きなさいよ。アンタ、バカシンジをたぶらかしたでしょ」
ちょっと、そこまで言う?


「あら、バカ面って、誰の事かしら?それに趣味の悪い青に髪の毛を染めている女の子にも心当たりないけど」
「うぐぐ、この泥棒猫。ちょっとアタシが目を離した隙に男に色目を使うんじゃないわよ」
ど、泥棒猫ですって、何よこの赤毛猿!!


「なんの証拠があってそんなこと言うのか、私にはさっぱりわからないわ。そんなに碇君が大事なら箱に入れて鍵でもかけて置いたら」
「何よ。これでも白切る気?相田がくれた写真見なさいよ」
え〜〜、そんなのあるわけ。うわ〜、私が碇君と腕組んで笑ってるところじゃない。


「ふふん、ほら何も言えないわね。シ〜ン〜ジ、アンタこのアタシにウソついたわね。生きて帰れると思って無いでしょうね」
「あ、あ、アスカ、アスカ、ち、違うんだ。こ・これには事情があって・・・・」
あ〜あ、碇君怯えきって、視線が虚ろ。このままでは、人格崩壊ね。ここは冷静に反撃開始よ。


「アスカ」
私は冷たく言い放った。

「何よレイ。何か言えるの」
「確かに私は碇君とアスカのプレゼント買いに行ったわ。そこで腕も組んだし、アクセサリーショップも見に行った」
「ふん、遂にゲロしたわね。やっぱりアンタはそういう女よ」

「で、それがどうしたの?」
「え?どうしたって?盗人猛々しいとはアンタのこと・・・」
「いいアスカ。もし碇君がアスカの彼氏なら私の行為は確かに泥棒猫ね。でも私、前に二人は幼なじみと聞いたんだけど。いつから変わったのかしら。それから碇君にも買い物の時そう聞いたんだけど、私の耳が違うのかしら」
「うぐぐぐ・・・」

「彼氏なの?アスカは碇君のこと愛してるの?はっきりしなさいよ」
「ぬぬぬ・・・」

「なら何も問題ないじゃない。クラスメートが仲良く買い物に行っただけのこと」

「でも、シンジはウソついた。アンタとプレゼント選んだくせに、一人で選んだと言った。これは許せないわ」
「あら、一人で選んだのはホントよ。私は助言受けたけど結局碇君が一人でアスカのプレゼント選んだもの。
それから、一人で買い物に行ったと言えと言ったのも私」
「ほら、やましいからじゃない」
「違うわ。あのときアスカは碇君にしっかり選べと言ったじゃない。もし私がプレゼント選びに関わったと聞いたらたとえ私が選んでなくともアスカは怒ると思ったから、そう言っただけ。何もやましいことはないわ」
私は思わず、戦闘本能が全開になっていた。



すると、いままで黙って私たちの様子を見ていたアスカのお母さんが溜息混じりに言ったの。
「アスカ、あなたの負けね。だから素直にシンジ君に恋人になってと言いなさいといつも言ってるのに」

「そうねアスカ。今回は綾波さんの言ってることのほうが筋が通ってるわ」
洞木さんまで首を悲しそうに振りながら言った。

「でもこのままじゃ、碇君、綾波さんに取られちゃうよ」



ここまできたら仕方ないわ。私も腹を決めた。どうせいつかははっきりしなくちゃいけないんだし、駄目で元々。
「ねえ、碇君。私、転校以来ずっと碇君のこと見てきたの。アスカの気持ちも分かるからずっと自分の気持ち殺してきたんだけど、もう我慢できない。私、碇君が好き」



「「ヒューヒュー」」
外野がうるさいけど気にならないわ。碇君は驚いた顔してこっちを見てる。


「な、何よ。レイ、よくも人前でそんなこと言えるわね。どうせ私は素直じゃないわよ。シンジのバカ」
あ、アスカが部屋を駆け出して行っちゃった。え、もしかして俯いた顔の下に見えたのは涙?


「鬼の目えにも涙や」
「鈴原、場所を考えなさい!碇君、女の子泣かしたのよ、追いかけて」
洞木さんの怒鳴り声。


「う、うん」
あ〜あ、これは碇君の条件反射ね。でもLASモードや本編モードならともかく(笑)このまま碇君を行かせないわ。


「待って、碇君。私も悪かったの。一緒に探しましょ」
「分かった」
「ちっ」
聞こえてるわよ、洞木さん。




二人で息せき切って、走り出した。たぶん、丘の上の公園ね。洞木さんに聞いたことがある、アスカ辛いときはいつもあそこに行って泣いてるって。

碇君今まで見たこともない真剣な顔。きっとアスカを本気で心配してるのね。さっきは勢いでああ言ったけど凄く後悔してる。


丘の上を駆け上がるとやっぱり夕日に染まってアスカがいた。こうやってみても綺麗。そうね私は所詮赤目青毛女。アスカの言う通りかも。


「アスカ、探したよ。心配かけないでよ」
「な何よ、アンタなんかレイといちゃついてればいいじゃない。アタシなんか関係ないでしょ」
「そんなこというなよ。アスカは僕の大切な幼なじみじゃないか。何かあったら大変だよ」
そっか、やっぱりアスカにはかなわないのか。え?でも幼なじみ?

「シンジぃうれしい。じゃレイはどうなの。やっぱりアタシを選んでくれたのね」
「綾波は僕を初めて好きと言ってくれたんだ。正直に言うと綾波のこと凄く気になる。好きといってくれてうれしかった」
「アタシは所詮幼なじみなのね。アンタはレイを選ぶのね」
涙声になるアスカ。でも私の気持ちは天にも昇る気持ちよ。

「えと、あの、その、どっちがより好きか今は分からないよ。だって僕は二人をそういう風に見たこと無いんだから。とりあえずは今まで通り幼なじみと大切な友達そこから始められないかな」


「ふ、ふざけないでよ、シンジ。アンタ二股かけようと言うの。私は許さないわよ」
「い、いやもう少ししたらはっきり出来ると思うから」
「フン、アンタなんかこっちから願い下げよ!」
アスカ墓穴を掘ったわね。

「私は二股でもいいわ。碇君と一緒にいられるなら。不器用な碇君がすぐに答え出せるわけ無いもの。もっともアスカが辞退するなら私の不戦勝だけど」
「レイ!、漁夫の利を得ようたってそうはいかせないわよ!いいじゃないその勝負受けてやろうじゃないの!いい?これから毎日交代でシンジに弁当を作って10点満点で得点をつけ1ヶ月の累積得点が高い方の勝者よ」

「あ、料理ならアスカに一日の長があるじゃない。それならこっちはデートのムードで碇君をその気にさせるわ」
「じゃ、アンタ土曜日、アタシ日曜日をデート日ということでどれだけシンジを悩殺できるかポイントにするわね。シンジ早速明日プール行くわよ」


「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなのおかしいよ、僕の意見は・・・・」
「「アンタ(碇君)に発言権はない!」」
「大体二股かける以上、そこから先はアタシ達で決めるんだから」

「碇君、お弁当はお互いに食べさせっこするんだからね」
「や、止めてよ・・・」
ふふふ、アスカったら今まで自分が独り占めしていた行為を半分私に譲ることになるのに気がつかないのね。
いくらテストがダントツ一番でも頭の中は猿並ね。


まあ、完全に振られたわけではないし、徐々に碇君を私好みの男に調教していけばいいわ。土曜日のデートというのが気に入らないけど。
でも家に上げてシャワー後に誘惑すれば碇君きっと私を押し倒してくれる。そう、そんな気がする。後は責任取らせればいいわ。

「ふふふ」
あらやだ、私ったら気づかず含み笑いしちゃった。あら、碇君アスカに襟元掴まれてる。でも確かに二股は許せないわね。お尻つねっちゃおう。


「アスカぁ、綾波ぃ、もう勘弁してよ〜」
駄目よ。こうなったらアスカとの女の戦い、クリスマス・イブをどちらが碇君といられるかを賭けて戦うんだから。







「うぉ、センセ綾波とアスカにはさまれて難儀しておるのぉ」
「あの様子だとどうやら、シンジの奴どちらも選べなくて、結果的に二股かける羽目になったんじゃないか」
「碇君、不潔よ!」
「まあ、命だけは大切にしいや」




                                       Fin




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つっくんの部屋



どうしましょ。前回と違ってみんな壊れちゃいました。これもトウジが暴走するからいけない。そうか平常心のTシャツって、トウジのプレゼントだったのか。そんなことはともかく、これがLASにんの限界ですなあ。
ホントはアツアツのLRSで締めるつもりだったんですが。シンジ君二股でこれから地獄の日々になるんじゃないですかね。しかし、レイちゃんてけなげなはずだったのにマナになっちゃった気がする。

Top Page Contributions  

Received Date: 98.11.11
Upload Date: 98.11.12
Last Modified: 98.11.13
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