昨夜は遅かったのかな? 今日はブランチにしよう。 起きたらTEL下さい。 シンジ |
冒頭で字幕が流れ、この物語の舞台と背景を語る。
舞台はスモッグに被われ酸性雨が降りしきる 2019年11月のロサンゼルス。
物語は地球外での奴隷労働に使われていたレプリカントと呼ばれる人造人間数名が反乱を起こして地球に帰り、そのレプリカント達を『処理』する特別捜査官『ブレードランナー』が招集される所から物語が始まる。
シーンはレプリカントの一人が自分達の製造元のタイレル社へ雇用されようとする所から始まる。
外観上は人間と見分けが付かないレプリカントを見分ける為のVKテストを実施する一人のブレードランナー。
だが、彼は、レプリカントが隠し持っていた銃で撃たれ絶命し、レプリカントは逃走する。
そして、新たなブレードランナーが呼び寄せられる。それが主人公のデッカード(ハリソン・フォード)である。
これはデッカードと、レプリカント達の頭目であるロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー)との戦い、そしてタイレル社にいた女性型レプリカントのレイチェル(ショーン・ヤング)とのラブストーリーを描いた物語であった。
物語が進むにつれ、レプリカントが何故反乱を起こしたかが明らかになる。
奴隷労働に従事させるには感情は不要、逆に有ると不都合な物である為、初期状態では感情は備えられていない。
だが、起動して長期間活動すると、次第に感情が芽生えて来るのだ。これは不都合である。
そこでタイレル社は安全装置を組み込んだ。それは製造後4年間という寿命である。
感情が芽生えた彼らは、自分達の寿命が極端に短い事を知って、それをなんとかしてもらう為にタイレル社に押し込もうとしていたのだった。
一方、レイチェルは偽の記憶を与える事によって感情を安定させられていた。彼女は自分がレプリカントである事を知らなかったのだ。デッカードにより自分がレプリカントである事を知らされ、自分の物と信じて疑わなかった過去の記憶はタイレル博士の姪の物である事を知ったレイチェルは涙する。そして、タイレル社から脱走するのだった。
アパートでうたた寝をしていたデッカードは夢を見る。白いユニコーンが森の中を走り抜ける夢だ。
目覚めた彼はレプリカント達の根城に残されていた写真を解析し、それを手がかりに彼らを追い詰めて行く。
彼らは写真を大切にしていた。自分達が持たない過去の記憶という物を、写真に求めていたのかもしれない。
やがて、アジア系の人々と妙な日本語のネオン、そして多国籍な喧騒の溢れるロスの街で、デッカードは一人の女性型レプリカントを発見し、追い詰め、射殺する。
生命工学により産み出された彼女は、死の際に涙を一筋流し、そして流れる血は、赤かった。
その後、その場に居合わせたレイチェルを連れてアパートに戻ったデッカードは彼女に漏らす。『仕事だが、辛いよ』と。
だが、レイチェルの返事は『私は仕事ではないわ。殺される側よ』と返し、『もし、私が逃げたら、追って来て、殺す?』と問い掛けるのだった。
デッカードは『俺は行かんが、他の誰かが行く』と答え、ソファに横になる。
レイチェルは『VKテスト、受けたことがある?』と訊ねるが、デッカードは疲れから寝入ってしまっていたので、部屋に有ったピアノを弾いてみる。
『ピアノが聞こえた』と起きて来たデッカードに『私が弾いてたの。でも、習ったのはタイレルの姪かも』と答えるのだった。
場面は変わる。
ロイ・バッティはタイレルのチェス相手のJ.F.セバスチャンを篭絡し、タイレルとの対面に成功する。
彼はさまざまな延命策を提案するが、タイレルは『全て考慮済みだ。君らは完璧だよ』と答え、延命策が無い事を明言する。
そして『明るい火は早く燃え尽きる。君は輝かしく生きて来たんだ。命有るうちに楽しめ』とロイを慰めるような言葉を吐くが、ロイの返事はタイレルに死を与える事だった。
タイレルの死が明らかになり、その場にセバスチャンの遺体もあった事から、彼らの根城がデッカードに割れる。
デッカードはセバスチャンが住んでいた古いホテルに向かい、そこでロイを待っていた最後の女性型レプリカントを『処理』するのだった。
そして、ちょうどそこに戻って来たロイ・バッティは変わり果てた恋人の姿を見つけ、復讐の戦いをデッカードに挑む。
レプリカントとブレードランナーの最後の対決と相成る訳である。
戦いの中、ロイは耳を銃で飛ばされ、寿命が近付き機能不全に陥ろうとする自分の体に古釘を刺して鞭打ち、満身創痍になりながらも、徐々にデッカードを追い詰めて行く。
デッカードも無傷ではない。ロイに指を折られ、銃を落とし、片手で窓から壁を伝って屋上へと逃げようとする。
だが、ロイはついにデッカードを追い詰めた。
隣のビルの屋上へとジャンプするデッカードは足を滑らせ、鋼材に掴まって落下を防ぐが、片手の指が折れているのに加え、降りしきる雨で指が滑る。必死に耐えるデッカードを上から見下ろすロイ。
『恐怖の連続だろう。それが奴隷の一生だ』
デッカードが息を詰まらせ、咳き込んだ拍子に指が滑りまさに落下せんとしたその瞬間、ロイはデッカードの腕を掴んでいた。
そして、引き上げられへたり込むデッカードの前に、ロイはゆっくりと腰を下ろすと、物も言えぬデッカードに静かに語り始める。
『お前ら人間には信じられぬ物を俺は見て来た』
『オリオン座の近くで燃えた宇宙戦艦…』
『タンホイザー・ゲートのオーロラ…』
『そういう思い出も、やがて消える』
『時が来れば…』
『雨の中の…涙のように…』
『…その時が来た…』
そして、レプリカント・ロイ・バッティは静かに生命活動を停止した。
やがて、呆然とするデッカードの視界にポリス・スピナー(空飛ぶパトカー)が降り、もう一人のブレードランナー、ガフが現れる。
『お見事でした。これで終わりですね』
『ああ、終わった』
そう答えるデッカードにガフは先程デッカードが落とした銃を投げ渡して立ち去りかけるが、そこで振り向き言い残す。『彼女も惜しいですな。短い命とは』と…。
そう、彼らに対する指令は脱走したレプリカントの殲滅。レイチェルもその対象なのだ。
慌てて自分のアパートに戻ったデッカードは、レイチェルが無事であるのを見つけ安心するが、すぐに二人でそこを脱出する事を決意する。
そして、レイチェルと共に部屋を出た時、部屋の前の廊下に銀紙で作ったユニコーンの人形が床に置かれているのを発見するのだ。
ガフだ。彼の特技というか、手持ちぶさたの時はいつも手近な紙で何かを折っていた。
だが、何故、ガフがデッカードの夢に出て来たユニコーンを知っているのか?ただの偶然か?それとも…。
二人を見逃してくれたガフに感謝しつつ、デッカードはレイチェルと共にエレベータに乗り込む。
扉が閉まると同時に画面は暗転し、ヴァンゲリスのエンディングテーマと共にスタッフロールが流れ始める。