EVA -- Frame by Frame --

 

<幕間 ごあいさつ> 

 

 はじめまして。

 −−と言うのもヘンかもしれませんが、自作の解説をBBS以外で書くのは初めてです。まずは、拙作なんぞをお読み頂いて、ほんとうに有り難うございます。

 FF/SSに限らず、いったん自分の手を離れれば、作り手の意図はどうでもよくなります。とはいえ、Frame by Frameも回を重ねて13話(おめでとう!)。連載開始から2年(ウソだろ?)。よもやま話をここいらでするのも、まあ許容範囲かな、ということで書いています。実際には、この文章の方が13話よりも先に完成してしまったのではありますが。定期更新は夢の夢ですな。

 ここまでお読みいただけば分かるとおり、このお話は、一応「本編系逆行物」ということになります。ただ、逆行しているのは、シンジでなく使途たちの方で、これが基本アイデアです(というか、それだけ)。後は、レイ&シンジを軸に、話をまとめていこう、というわけです。全ての戦いを経験して(つまり滅ぼされた経験をもって)使途たちが逆行したらどうなるだろう、戦法はどう変わるだろう、その結果、本編での人間模様はどう変わっていくだろう、etc. といった見方で再構成しているわけです。忠実に本編に沿ってやっているので、きっちり全26話で終わります(1話の長さはまちまちですけど)。

 少し前に出たDVDボックスは「リニューアル」と言われていました。Frame by Frameは「リミックス」というのが適切かもしれません。本編でのエピソードのすき間に入る「補間」の性格もあります。アフレコを変えて、多少エディットすれば、本編の画像の7割くらいはそのまま使えるんじゃないか、なんて思ったり。同時に「補完」の方も考え、本編では終盤近くで明かされた「謎」の説明を、少しずつ繰り上げて織り込んだりもしています。元来、私はもともと短編向きだと思うので、Frame by Frameの断片をつなぐ手法は性にあっています。

 そんなわけで、本編の世界観は継承していますから、シンジがスーパー化したり、周りの大人(含むオリキャラ)が全面サポートしてくれたり、といった話にはなっていません。オリキャラは「本編でも存在したに違いないが名前のついてない脇役」に限定しています。マドカさんはマヤの隣に時々出てくるオペレーター、ユリアさんは弐号機のテクニカルスタッフ(本編では出ないが、いないはずがない)、そしてクラスメートは言わずもがな。「等身大のシンジ」という描き方は、Nacさんの「2nd Ring」に影響されました。LRSな世界観は、もちろん、多くの先輩作家さんたちに影響されています。「あ、無口で無表情な綾波さんでも、ちょっと背中を押してあげるだけで、こんなに魅力的な描き方ができるのね」と、傑作に出会うたび思います。まあ、自分自身はいい歳なので、自己を投影できるのは、シンジよりゲンドウや冬月、あとはせいぜいリツコだったりします。チルドレンを「見守る」ような目線が色濃いとすれば、それは私がオヤヂなせいでしょう(とほほ)。クラスメートも、ほとんど保護者目線で書いています。

 ここらでネタバレを少し。毎回の題名は、本編と紙一重の名前にしました。途中のアイキャッチで出る英語題は、わりと音楽ネタが多いです。リストにすると:

 

 第1話:A Boy Meets a Girl−−そのマンマ。原典なし。

 第2話:Sunrise, Sunset−−これもマンマ。原典といえば、「屋根の上のバイオリン弾き」のメインテーマ。

 第3話:A Transmigration−−「転生」。ディックの「ティモシー・アーチャーの転生」の原題で初めてお目にかかった、ちょっと珍しい単語です。

 第4話:Whistling on the Dock of the Bay−−口笛が印象的な、オーティス・レディングの名曲のもじり。原題はSitting on the Dock of the Bay。

 第5話:Rei I: Woran Purpuraugen glauben−−「レイ」の回だけはドイツ語を使おうなどと無謀なことを考えました。元ネタは、外国で見つけた貞本版コミックのドイツ語訳から。日本語だと「紅い瞳の信じるもの」かしら?

 第6話:Rei II: Mond in der Finsternis−−上に同じ。訳すと「静寂の月」。

 第7話:A Divine Work−−原典なし。日本語題と同じ。

 第8話:Asuka: A Light in the Black−−この回は「レインボウ」ネタをあれこれと。初期のレインボウ(70年代末〜80年代のハードロックバンド)の名曲を出しています。A Light in the Blackは彼等のセカンド・アルバムから。他に、イージス艦のSilver Mountain、戦艦のLady of the Lake、偵察機のStargazerなど。よっぽど艦長の名前をブラックモアにしようかと思った(笑)。

 第9話:Both of You, Smile if You Care for Each Other−−原典なし。訳すと「二人とも、好きなら微笑みなさいよ」あたり。

 第10話:The Dogma Diver−−原典なし。日本語題と同じ。

 第11話:How I Wish, How I Wish You Were Here−−「あなたがここにいてほしい」。色んな人が使っているセリフですが、How I wish...をくり返しているのはピンク・フロイド。

 第12話:She Said, "You Won't Feel the Benefit (Won't Feel the Benefit)"−−10CCの曲Feel the Benefitから。本編でもShe said...とあったので。日本で出たAliveというライブアルバムには、私の拍手も入っています。

 第13話:Stop Making Sense−−トーキング・ヘッズから。意訳すると「イミなしでいいじゃん」。有名なライブ映像&アルバムの題名。マギの開発初期のコードネームは「トーキング・ヘッズ」だったというウラ設定も考えたりしました。

 

 思い起こせば、学生時代にちょぼちょぼと同人活動をして、その後何もしなかった私のような者が、この期におよんで人様に読んでもらえるお話を書けるなど、思いもよらぬことでした。私が初めてエヴァを見たのは、97年の映画版から。あの時、深夜にTVシリーズの連続上映があり、それをビデオ録画して一気に引き込まれた記憶があります。もともとアニメや特撮は色々見ていましたが、さすがにある時期からは離れていました。よく見かける、「ガンダム以来はまった久々のTVアニメ」というコメントに私も近いです。ま、私の場合、その間にマクロスが挟まっていますが(苦笑)。ちょうど、95〜97年というと、日本でインターネットが爆発的に広まった頃でしたね。仕事場の端末を使いまくって(<ヲイ)、エヴァ関連のサイト、主に「謎解き」や業界裏話の情報を読んで歩きました。あの頃のマニアの勢いは凄まじいものがあったし、ネット上の罵倒や誹謗も、あしらい方のルールがまだ確立していなかったものだから、自分から発信することはしませんでしたけど。

 元来、本編(TV、映画版ともに)への不満はあまりないのです。早い時期のFF/SSは、特にEOEへの不満から、独自の世界観でもっと納得のいくエンディングを描き出したのだと思います。私もそういう思いは分かりますが、見方を変えれば、ああやって破綻してこそエヴァ、とも思います。ただ、ぶちまけた伏線やガジェットがあれだけ「放置」された作品も珍しいし、だからこそ多くの二次作品が生み出されたのでしょう。エヴァ以降は、ネタの放置というか、「謎」を解決しないというのが手法として定着したから(ビッグオーとか)、見る方も対応できているけれど、当時はさぞや鬱憤が爆発したでしょう。

 エヴァFF/SSを書くようになったのは、綾波展の期間中からです。その頃、外国に仕事で長期滞在していて、日本からあまり本を持って出なかったために、ネット小説にはまりこんでしまったのでした。そんな折り、「綾波展」で素晴らしい作品に巡り会うことができました。そして、萌えた勢いでついにお話を書いて投稿、などという暴挙に出た次第。後に、ここは恐るべき濃厚な猛者の集まり(爆)であることを知ったのですが、慌てても後の祭りで、何やかやで今日に至っています。その間、もちろん綾波展スタッフの諸兄にお世話になってきたことは言うまでもありません。ここに改めて、深く感謝する次第です。

 ペンネームは、ほとんど考えなしに決めました。エヴァでは「希望」が一つのキーワードなので、ドイツ語で「希望」を意味するHoffnungにしたのですが、じっさい声に出すと読みにくいこと(苦笑)。オフ会などでは「保父さん」で通っています。

 それでは、これからもよろしくお願いいたします(ぺこり)。メインキャラには、ハッピーエンドを用意しています(本当だってば)。だから、も一度よろしく(ぺこぺこ)。

 

<つづく>

2003.8.30(2008.3.15オーバーホール)

Hoffnung

BACK 第13話 NEXT
inserted by FC2 system