EVA’s Dream? 
     第二話 『エヴァの存在』


 数日前、ネルフ本部内総司令室・・・
その部屋は薄暗く、重々しい雰囲気が立ち込めていた。そんな中、椅子に座っている男と憮然と突っ立っている白髪の男がいる。

そして、白髪の方の男がゆっくりと口を開いた。
「碇、委員会からエヴァンゲリオンを一機送ってきたぞ。知っていたか?」
数秒間の沈黙の後、『碇』と呼ばれた男がさも面倒そうに返答する。

「・・・ああ。」
「そうか・・・。しかし何故だ?ネルフに疑念を抱き始めているあの委員会の連中が、こちらにとって大きなな戦力となるエヴァを送ってくるはずがなかろう。」
「・・・今度輸送されるエヴァはヨーロッパの方で、委員会にも知られずに密かに建造されていた物だ。完成した直後に委員会がそれに気付き、即刻に徴収したのだが、用意した何人かのチルドレンを乗せても全員シンクロ率0パーセント、そしてその全員がいずれも暴走だ・・・」
と、碇が機械的に答えた。
「そんなバカな!暴走などそう頻繁に起こる物ではないぞ。」
白髪の男は驚きの表情を露にして発言する。
「しかしそれは起きた、それは事実だ。それも起きた暴走の一つはその起動前に起きたらしい・・・」
碇は白髪の男にさらに驚くべき事を言った。
「!?なに!起動前だと!?」
白髪の男はさらに信じられないと言うような表情をする。
「そうだ・・・その時に委員会の連中はそのエヴァの構造自体が違うのではないかと思い、即刻にそのエヴァを作った者達を探したが、その時にはすでに姿を消した後だったらしい。」
「そうか・・・しかし、もし構造が違うならばそのエヴァはエヴァとは呼べんのではないか?」
「委員会は最初にエヴァンゲリオン参号機と命名したようだが急遽変更し、『エヴァンゲリオン型汎用決戦兵器』としたそうだ。」
そして、白髪の男はやっと全てを理解したように答えた。
「・・・なるほどな。委員会にしては飼い主の手を噛むような、飼い馴らす事のできない猛獣をネルフと言う檻に入れたという事か。」
「そういうことだ・・・」
碇は静かに同意する。
「しかし、ここで何もせずにただ置いておくと言うのは勿体ないな。一応、チルドレンを捜してみるぞ。」
「無駄だとは思うがな・・・まあ、捜してみる価値はあるだろう。」
「そうだな・・・しかし、今日のお前は随分と多弁だな。なにかあったのか?」
碇は表情を変えず、冷や汗を浮かべながら小さく答えた。
「・・・放っておけ・・・」
「(碇・・私を甘く見てはいかんぞ・・・。)」
・・・余談だが、『白髪の男』というのはもちろん『冬月』のことである。そして、今日の碇が機嫌のいい理由は謎のままだが・・・今日の朝、全諜報員によって超極秘に撮影、編集させた待望(?)『碇シンジの日常』という写真集が密かに碇の手に渡ったのを何人かのネルフ職員が発見したらしい・・・。

・・・そういえば・・・発見者の中にも『白髪の男』がいたような気が・・・





『ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド』
『ババババババババババババババババババババババババババ』
『ヴヴヴオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォ』
『ズシイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンン・・・』

「(なんだこの音?・・・ああ・・うるせえな〜。近くで工事でもやってんのかよ〜。)」

 俺はそんな破壊音の中でその日の朝、いや、実際には昼と言ってもいい時間帯だ。目を開けると木造の古い天井がまず、俺の目に入った。
「あれ・・・そうか、ここ、俺の部屋じゃないんだよな。」
と、呟いてから改めて周りを見てみる。
「(やっぱりここ、お寺かなんかだったみたいだな・・・)」
そしてそんな事を思いながら、ゆっくりと体を起こして体の調子を確かめる。
「よし!異常無し。さてと、まずは外に出てここが何処か確かめなくちゃなあ。交番にでも行けばいいか・・・。」
そして俺は勢い良く扉を開けた。日の光が眩しく目に入って来て・・・???・・・そしてそれに混じって何か巨大な物がこちらに飛んで来ている・・・。
「(で、でかい!!!)」
『ギャアアアアアアアァァァァァァァ・・・』
『ギャアアアアアアアァァァァァァァ・・・』

その時、誰かの叫び声がしたような気がし・・・
『ダダアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァンンン』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・ゲホゲホ・・ゴホッ・・ゲホ・ゴホ・・・」
砂がモロに口に入った俺はしばらく咳き込んだあと、ゆっくりと目を開けて周りを見た。さっきまで俺がいた木造のお寺、鳥居、お寺を囲むように生えているたくさんの森林、そして口をあんぐりと開けながら上を見上げている、どこかで見た事のある少年が二人。そして、二人の少年の視線の先には・・・
『バチバチバチバチバチバチバチ・・・』
『ジュジュジュジュ・・・・・・・』

「・・・え、エ、えバ・・・エヴァン・・ゲリオン・・・・・・・」
そこには第四使徒シャムシェルの光るムチのような触手を手で掴んでいる、エヴァンゲリオン初号機の姿があった。


 ネルフ本部内発令所・・・
発令所の中に安否を気遣う女性の叫びにも似た声が響く。
「シンジ君大丈夫!?・・・ダメージは!?」
「問題なし、いけます!」
すぐさま女性オペレーターが返答する。
「葛城一尉!生体反応が三つ!いずれも初号機の付近でいずれも人間です。モニターに映します。」

その報告の後に葛城一尉の近くのモニターに二人の少年の名前、顔、住所等のプロフィールが映し出される。

「シンジ君のクラスメイト?」
葛城一尉の意外そうな声が飛ぶ。
「なぜこんなところに・・・」
とは、近くで白衣を着た女性の声。そこで葛城一尉は三人目のプロフィールが映されていない事に気付いた。
「ちょっと!あと一人は?」
いつまで経っても二人しかモニターに出ない。
「・・・マギは解答不能を示しています!このような人間は世界でも登録されていません。」
モニターには仕方なしに、口を大きく開け、ポカンとしている三人目の彼の現地での姿だけが映し出されている。
「葛城一尉!今は使徒の事を最優先に!」
白衣をきた女性の厳しい声が飛ぶ。第四使徒シャムシェルはすでに初号機の目の前まで迫っていた。
「はっ!?シンジ君!起きて!早く!」
次の瞬間、使徒は触手での攻撃を再開したがモニターに映る初号機は迫り来る使徒の触手をなんとか手で掴んでいた。
「接触面に融解!初号機活動限界まであと3分30秒!」
「シンジ君・・・!」


 場所は戻る・・・
初号機の手が融解する音を聴きながら俺は呆然と立ち尽くしていた。
「(な、なんでエ、エ、エヴァンゲリオンがあるんだ?あ、あれはたしか第四使徒で・・・・しょ、初号機には碇シンジが乗ってるんだよな。うん、そうだそうだ・・・・って納得していいのか?エヴァンゲリオンがあること自体おかしいんだよな・・・。もしかして、これは夢か?そうだ夢だな。それならエヴァがあることも、俺が知らない間にこんな場所にいるのも全部納得出来る。そうだ、夢のせいにしよう。)」
しかし・・・れっきとした現実は全てを夢のせいに出来る程、甘くはなかった・・・。そしてその数秒後、
『そこの三人、来い!!早く乗るんだ!』
と言う、ばかでかい音量の声が初号機の機体から聞こえて来た。
「(ああ、そういえばこの声の後にトウジとケンスケがのりこむんだよな〜・・・・・三人?・・・トウジ+ケンスケで二人・・もう一人は・・・。」

・・・辺りには、誰もいない・・・。
「俺かぁぁ!?!?!?」
「お〜い!そこの人!」
声のした方を見るとさっきの二人の少年の内の一人、ケンスケがおれの方を向いて叫んでいた。俺は無言で『俺か?』と、人指し指で自分を指してみる。
「そう、あんただよ!なんかあれに乗れって言ってるぜ、あんたも早く乗りに行こう!」
俺はまだ頭がパニくっていたが、こんな状況でも、
「(あれに乗れば碇君に会えるかも・・・)」 と言う考えが頭に浮かび、即座に頷いた後、ケンスケが走っていった方向を期待に胸を膨らませながら(?)追いかけた。(何度も言うが俺はホモじゃないぞ!!!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ドボン!ドバン!ゴボン?』
と言う水音をたてて、トウジ、ケンスケ、俺の順でエントリープラグ内へ入った。
「何やこれ・・・水やないくあっ!グゲェ!」
「ゴボッ!カ・・・カメラ。」
LCLで肺が満たされれば直接体に酸素を送り込んでくれると言う予備知識が俺にはあるが、どうやって肺に満たせばいいか判らないために激しくむせ返った。やっと落ち着いた頃に前を見てみるとトウジが前にいるパイロットに話しかけている。
「話しかけないでくれ!気が散るっ・・・」
「(おおっ!碇君の声だあああぁぁぁぁぁ(はあと)」(断じてホモじゃないぞ!!!)
その時、どっかからアラーム音と一緒に声が聞こえて来た。
『神経系統に異常発生!シンクロ率が低下していきます。』
『異物を3つも挿入したからよっ!神経パルスにノイズが混じってるんだわ!!』
ばかっ!!!勝手になんてことすんのよ。ちゃんと私の指示を仰ぎなさい!他にいくらでも方法があるでしょ!?』
「(あ、こりゃやばいな。えっと確かこういう場合は意識を集中して、碇君のことだけを考えてシンクロの邪魔をしなければいいってなんかの小説にあったような気が・・・・・ま、やってみる価値はあるか!)」
俺は無意識の内にそこまで考えをまとめ、実行に移した。
「おいっ、相田と鈴原!」
すぐさまトウジとケンスケが振り向いて、不思議そうに俺を見つめた。
「はっ?あんた、なんでわいらの名前、知っとんのや?」
しかし、俺はそんな疑問の声には耳を貸さず、凄まじい剣幕で怒鳴る。
「そんな事はどうでもいい!!!いいか、今から意識を集中して、碇の事だけを考えろ!それが碇の手助けになる!!わかったな!!!!!
そして二人は直ぐに二人そろって返事をした。
「「はっはい!」」
「(随分と素直だな・・・俺ってそんなに怖かったかな?)」
と一瞬疑問に思ったが、よくよく考えればこいつらは14才で俺は今まで忘れてたけど16才で二つ上なんだよな〜。こいつらよりは確かに大人っぽいし体もでかいから、そんな人にすごい剣幕で何か言われたらそりゃ素直になるよな〜。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数秒後・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オペレーターの声が聞こえる・・・
『あ・・し、神経系統の異常、消失!』
『なんですって!!・・・』
『・・・し、シンクロ率が急激に上がっていきます!70%・・80%・・90・・100・・・・・シンクロ率130%で安定しました。』
『そ、そんな!ありえないわ!!!』
「(この声は・・リツコさんとマヤさんかな?ははは・・・みんなびっくりしてるみたいだな。)」
「く・・・くそォォっ!」
「(碇君の声〜(はあと))」
『ガッ・・・ズオッ・・・ガガアアン・・』
初号機が使徒を蹴り飛ばす!
『今よ!後退して!!回収ルートは34番、山の東側へ後退するのよ!」
「・・・・・・・・・・・」
「(碇君、頑張って〜・・・)」
『ちょっとシンジ君!聞いてるの!?返事をしな・・・』
『・・・シャコン・・シュフィィン・・・ブン!』
初号機は肩からプログレッシブナイフを取り出して柄を握りしめる!
『プログレッシブナイフ装備!』
『ええっ、何で〜〜〜!?シンジ君っ命令を聞きなさい!!!退却だっつーの!!!!!
「わあああああああああああ!!!!!!!」
『なんでえええ!?』
「(碇君ガンバ〜!!!!!)」
『ズドドドドドドドドドドドド!!!!!!』
初号機が使徒へと突っ込んでいく!
『ヒュヒュヒュヒュ・・ヒュンヒュンヒュン・・ズォン!!!
「ぐっ・・・・」
「(あ、あれ?腹が・・・いてててて!!!!!・・・)」
使徒の二本の触手が初号機の腹に突き刺さる!
『あ〜〜〜〜〜、言わんこっちゃない〜〜〜〜〜〜。』
「くっそおおおおおお!!!!!
『ガッ!!!キイイイイイイ・・・』
初号機は腹に触手が突き刺さっているのも構わず、プログナイフを使徒のコアに突き立てた!
「おおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」
パイロットの絶叫がエントリープラグ内に響きわたる!
『初号機活動限界まであと30秒!29、28、27、26、25、24、23、22、21、』
『バチッ、バチッ・・ジュジュジュジュジュジュ・・・・・』
突き刺さった二つの触手は初号機の腹と接触している部分を融解させていき、尋常では無い痛みをパイロットに与える。
「うううう・・・っ」
「(碇君ファイトオオオオォォォォォ!!!!!・・痛たたたたたたた!!!!!・・・)」
『活動限界まであと10秒!9、8、7、6、5、4、3、2、』
キイイイイイイイイイン・・・バシッ・・フッ・・・・・』
使徒のコアが段々と光を失って・・・・・消えた。
『1、0!・・・・・・・・』
と、同時に初号機も活動を停止する。
「はあ、はあ、はあ・・・」
後には、パイロットの荒い声だけがエントリープラグ内を支配していた。
「(終わったか・・・・・でもなんであんなに腹が痛かったんだろう?・・・もう治ったけど・・・・・なんか悪い物でも食べたっけ?)」
「・・・・・・・・・・碇・・・おい碇・・・大丈夫か?」
トウジの声が静かに響く。
「大丈夫・・・大丈夫だよ。大丈夫・・・大丈夫・・・」
俺の耳に、大丈夫そうではない碇君の声が聞こえる。
「碇・・・」
最後に、トウジのすまなさそうな声がエントリープラグ内に響いた・・・。






Written by てつやん         




♪♪♪後書きor感想のような物♪♪♪


・・・ふう。何とか二話目を書いてみたけど・・・こんなんでいいんだろうか?(だめと言わないで・・・・・。)
まあ、なんとかかんとか、今回でやっと、碇のおっさん、冬月、碇君、ミサトさん、リツコさん、マヤさん、トウジ、ケンスケ等の主要キャラが出てきてくれた。
し・か・し!みんなほとんど、『お決まりのセリフしか喋っていない・・・・・
・・って言うか、後半はほとんど単行本を丸写し状態・・・・・・・・・・だめじゃん!
まあでも、今回だけはこれでお許し下さい。次回からはちゃんとみんな、いろんな言葉を喋ってくれると思いますんで・・・(多分)。
ではみなさん、第三話をちょっとだけでも楽しみに待っててください。それじゃ!

PS.期末テストがやっと終わったぴょ〜ん♪♪♪(結果は聞かないで・・・・・。)

                                     by てつやん (vu8m-skn@asahi-net.or.jp)




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Received Date: 98.10.19
Upload Date: 98.10.28
Last Modified: 99.01.03
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